へたれゲーマーだということを証明します

私は私のゲームライフ

私は私のゲームライフ

みるくは画面を見つめながら、ため息をついた。所持金と銀行残高の合計は73,492,831G。少なくない金額だが、フレンドたちと比べると、まるで足元にも及ばない。彼らはマイタウンを購入し、さらに武器の強化に何千万も注ぎ込んでいる。彼女のフレンドリストには、そんな「やりこみ勢」が多いのだ。

「すごいよなぁ、みんな…」みるくは呟きながら、画面に表示されたフレンドのプロフィールを見た。その中には、彼女の倍以上のプレイ時間を誇る人もいれば、見たこともないようなレアアイテムを持っている人もいる。キラキラと輝くマイタウンのスクリーンショットを投稿するフレンドたちの姿が、彼女の目にはまぶしかった。

「私ももっと頑張れば、あそこまで行けるのかな？」そう思いながらも、どこか自分には無理だと感じている自分がいた。みるくはゲームが好きだったが、時間を忘れてのめり込むほどではない。日々の忙しさの合間に、少しずつプレイするのが彼女のスタイルだった。

みるくは、ひとつのことを思い出した。小学生の頃、クラスメイトの間で流行っていたカードゲームのことだ。みんなが新しいパックを開けてレアカードを自慢している中、彼女はお小遣いを貯めてやっと一枚買った。それでも楽しかったし、自分なりのペースで楽しんでいた。大人になった今でも、そんな気持ちがどこかに残っているのかもしれない。

「比べない、私は私のゲームライフ」そう自分に言い聞かせるように、みるくは再びゲームの世界に集中した。目の前の画面には、彼女が愛用するキャラクターが立っている。派手さはないが、彼女にとっては愛着のある装備だ。少しずつ集めた素材で強化した武器と防具、そして自分でデザインした衣装。どれも彼女にとっての「自分らしさ」が詰まっている。

そのとき、フレンドリストに新しいメッセージが届いた。「今夜、ボス戦行かない？」フレンドのひとりが誘ってきた。みるくは少し迷ったが、すぐに「行く！」と返事をした。彼女は決してトッププレイヤーではないが、一緒にプレイすることで楽しさを分かち合える仲間たちがいる。そのことが、何よりも彼女にとって大切なことだった。

ボス戦は、フレンドたちの協力もあって見事にクリアできた。画面に映し出された戦利品の中には、思いがけずレアなアイテムもあった。みるくはその瞬間、胸が高鳴るのを感じた。自分のペースで積み重ねた努力が、こうして形になることが嬉しかったのだ。

「今日はいい日だな」みるくはそう思いながら、ゲームを続けた。フレンドたちと笑い合い、時には助け合いながら進める冒険は、彼女にとって何物にも代えがたいものだった。たとえ自分が「やりこみ勢」ではなくても、彼女なりの楽しみ方がそこにはあった。

夜も更けてきて、みるくはそろそろログアウトの時間だと感じた。「お疲れ様、またね」とフレンドたちに挨拶をして、ゲームを終了する。画面が暗くなると、静かな部屋に戻った彼女は、ふと天井を見上げた。

「私のペースで、私の楽しみ方でいいんだよね」みるくはそう自分に言い聞かせた。これからも彼女は、自分らしくゲームを楽しむだろう。時にはフレンドと比べてしまうことがあっても、そのたびに「私は私」と思い直すことができる。彼女にとって、大切なのは数字やランキングではなく、自分の時間をどれだけ楽しめるかだった。

ベッドに入る前、彼女はふと思った。「明日も少しだけ、マイタウンのために金策してみようかな」その思いは、単なる目標ではなく、楽しみのひとつとして心に刻まれたのだった。

みるくのゲームライフは、地味に見えても一歩一歩前進している。彼女にとっての「コツコツ」は、数字では測れない価値があるのだ。周りに流されず、自分のペースを大切にする。その姿勢が、彼女のゲームをより一層楽しいものにしていた。

「また明日も、私なりに頑張ろう」そう心に決めて、みるくはゆっくりと目を閉じた。