へたれゲーマーだということを証明します

「まじにばかなの?」

まじにばかなの？

「まじにばかなの？」自分に向けて、つい口に出してしまった。識字障害があるのは分かっているのに、どうしても同じミスを繰り返してしまう。画面に映し出される攻略ガイドには「南の宿屋」とはっきり書いてあるのに、なぜかその町には宿屋が二つあって、私は間違った方に何度も泊まっていた。

「どじー」自嘲気味に呟きながら、気を取り直してもう一度正しい宿屋に向かう。すると、画面に表示された目的地が正しく表示された。やっと進展があったことにほっとしながらも、やはり一歩一歩が大変だ。

その後も問題は続く。近くまで飛ばしてくれるキャラクターがいるのだが、ざっとしか確認せずに選んだ結果、またしても違う場所に飛ばされてしまった。頭の中では理解しているつもりでも、実際に手を動かすと違う結果が出てしまう。何度も地図を見直してみるが、目的地の方向が曖昧なまま進んでしまう。

「どうにでもなれって感じだよな」と諦めの気持ちが湧いてくる。やっとの思いで目的地に到着しても、肝心のクエストアイテムが手に入らない。モンスターを倒しても、肝心のアイテムがドロップしないのだ。

「またか…」

よく見ると、特定の魔法で倒さなければならないことが判明した。理解するのに時間がかかる自分が、ますます情けなく感じられる。改めて設定を変えて、再挑戦。しかし今度は狩場に隠れている敵や、見えないモンスターたちが襲いかかる。それに対処するために、サポートキャラクターの設定を何度も変更しなければならない。ゲームの中の操作すら思い通りにいかない状況が、現実の自分と重なって見えてくる。

「まじでこんな感じで、今までプレイしてたの？」

何とか指定の魔法で獲物を倒すことに成功したが、それでもクエストアイテムが手に入らないことに愕然とする。冷静になって考えてみると、今までも同じようなことがあったはずだ。友人たちと一緒にゲームをしていた時は、「あは、やっちゃったー」と笑って済ませられていたけれど、今は一人でプレイしているだけに、すべての失敗が心に重くのしかかる。

画面の前で無言のまま時間だけが過ぎていく。ふと我に返り、ディスレクシアだけではなく、もしかしてADHDの影響もあるのではないかと疑い始めた。気が散りやすく、一つのことに集中できない自分。いつも何かに気を取られてしまい、目の前のタスクを見失う。まさに今も、目の前のクエストで同じことが繰り返されている。

「大変そうだね」と、画面に向かって他人事のように呟いてみる。しかしそれは、まるで他人のことを心配するふりをして、自分自身を安心させるための言葉だった。あまりにも自分の失敗が多すぎて、どうにもならない現実を見つめるのが辛くなる。

今回のセキュリティートークンの緊急事態がきっかけで、自分の識字障害の深刻さに気づかされた。ゲームを通じて浮き彫りになったのは、単なるエンターテインメントではなく、自分自身の現実そのものだったのだ。

「ありがたいアクシデントだったのかな？」

そう思える時もあるが、実際はそう簡単には割り切れない。自分の障害を正面から受け止めるには、まだ時間が必要だ。それでも、こうして一歩一歩進むことで、自分の中の何かが変わることを願っている。何度も失敗し、迷い、間違いを繰り返す自分を、少しずつでも認めてあげることが、今の私にとってのゲームの目的なのかもしれない。

それでも今日も、コントローラーを握りしめている。うまくいかなくても、投げ出すことなく続ける自分を誇りに思いたいから。そして、少しでも前に進むことができたなら、それだけで十分だ。ゲームの中での戦いが、やがて自分自身の戦いにもつながることを信じて。