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へたれゲーマーの旅路

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「へたれゲーマーの旅路」

「ふう、何とかボスを倒したな…」すぐはは画面を見つめ、疲れた表情でため息をついた。今のボス戦は、まさに紙一重の勝負だった。パーティーメンバー全員のMPは底をつき、回復アイテムも尽きかけた状態。最後は僧侶のミリアが奇跡的に放った一撃で、なんとかボスを撃破できたのだ。

「やったね!これで次の街に進める!」ミリアの声が喜びに満ちていたが、すぐははその言葉を聞き流し、すぐに次の行動に移っていた。何しろ、まだ未踏のエリアがたくさんある。新しいクエストも、未知のモンスターも彼を待っている。気持ちはもう次の街に飛んでいた。

しかし、ふと気づいた時には、すぐはのキャラクターはまたしてもアイテムの整理をせずに、次のクエストに突入していた。

「まったく、すぐは君。ボス戦であれだけヒーヒー言ってたのに、また準備不足で突っ込むんだから…」魔法使いのリリスが呆れたように言うが、すぐはの耳には届かない。彼はすでに次のエリアの風景に見惚れていた。水の音がリアルに響き、背景の湿原が輝いている。グラフィックやエフェクトが美しいこのゲームに、すぐはは何度も心を奪われる。

「なあ、この湿原、見てみろよ。すげえリアルだよな。こんな景色、ずっと見ていたいな…」すぐはが感嘆の声を漏らす。しかし、彼の注意はあっという間に新しい敵に向かい、さらにまたその次へと移り変わる。彼の行動は、次々と現れる興味の対象に移り変わる典型的なADHDの特徴を示していた。

アイテム欄は、ドロップした草や使い捨ての装備で溢れ返っている。整理をしようと考えるが、その瞬間にはもう別のことに気を取られているのだ。新しい街に到着すると、すぐに町の隅々まで探索を始める。彼の好奇心は無限大で、何か新しいものを見つけるたびに目を輝かせる。

「すぐは、アイテム整理しないと。MP回復アイテムがもう残ってないよ。」リリスの冷静な指摘も、どこ吹く風。すぐはは、次の街のクエストにさっさと突っ込む。

「まあ、なんとかなるさ。次の戦いで、またドロップするかもしれないし。」すぐはは軽く笑って、仲間を置いて先に進んでしまう。いつもその場の勢いで動く、計画性の欠如がすぐはの特徴だ。何度もピンチに陥るのに、学習する気配はない。

「ほんとにもう、まただよ。」レオンが苦笑し、ミリアもため息をつく。しかし、どんなに無茶なことをしても、すぐはの行動はどこか憎めないのだ。彼の無鉄砲さが、逆に仲間たちの結束を強めているようでもある。なぜなら、すぐはは決して後ろを振り返らないからだ。常に前を向いて、次の冒険に飛び込む。

その一方で、すぐはの注意力の欠如は、たびたびパーティーの危機を招く。ボス戦でのMP切れはその典型例だった。魅了された仲間に襲われる悪夢のような戦闘。だが、それでも何とか生き延びてきたのは、彼の直感と、無謀とも言える勇気のおかげだ。

「すぐは、次のボス戦ではちゃんと準備しようよ。前回は本当にギリギリだったんだから…」ミリアが懇願するように言ったが、すぐははすでに次の敵に夢中になっている。

「おっと、ここにも強そうな敵がいるな。ちょっと挑んでみようぜ!」と、またしても仲間たちを引き連れて突進する。彼の目には、常に新しい挑戦が映っている。それは、まるで彼の心が絶えず走り続けているようだ。

すぐはの冒険は、失敗や苦難に満ちている。だが、彼は決して諦めない。注意が散漫で、準備不足で、先のことを考えない性格だが、それでも冒険の楽しさは誰にも負けない。そして、それが彼の仲間たちを引きつけるのだ。魅了され、倒され、立ち上がり、また走り出す。

「さあ、次はどこへ行こうか?」すぐはの問いに、仲間たちは顔を見合わせて苦笑した。そして、次の冒険に向かって歩き出す。何もかもが予測不可能で、準備も万全ではない。だが、それがすぐはの冒険のスタイルなのだ。

こうして、へたれゲーマーのすぐはの旅路は続く。注意欠陥多動性障害の発達特性を抱えながらも、彼は今日も新たな冒険に向かうのだ。誰にも真似できない、その無鉄砲さで。







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