へたれゲーマーだということを証明します

新規プレイヤー

新規プレイヤー

レベル5に到達した瞬間、プレイヤーの画面に「レベルアップ！」の文字が煌めいた。スライム37匹を倒して、ようやくこの成長を実感した。新規プレイヤーとして始めたばかりのこの冒険は、思い出の中の鮮やかな記憶を呼び起こしてくれた。

10何年前、まだゲームが今ほど精密でなかった頃、家族3人と大阪のフレンドとでよくこのゲームをプレイしていた。週末の夜になると、リビングのソファに座り、みんなでコントローラーを握りしめていた。モンスターを倒し、新しいクエストに挑むたびに笑い声と応援の声が響き渡った。その日々は、まるで現実の世界が少しだけ輝きを失ってしまったように感じるほど楽しかった。

「サポートが土日でお休みだからね。」ふと、そう思い出して笑った。あの頃のサポートはいつも親切で、私たちがゲームに迷った時、すぐに助けてくれたものだった。家族であれこれ相談しながら、時にはフレンドとオンラインでやり取りしながら進めるゲームは、私たちの日常の一部になっていた。

今は一人でプレイすることが多くなった。最初は懐かしさに浸りながら楽しんでいたが、次第に一人のプレイに寂しさを感じるようになった。特に長いクエストをクリアしても、誰かと喜びを分かち合うことができない時、その空虚感は何とも言えなかった。昔は、家族やフレンドが画面越しにでも一緒にいてくれたのに、今はそういった声が聞こえないのだ。

それでも、新しい街へと旅立つことに決めた。最初のストーリーボス戦を終え、次の町へ進む時、自分のレベルはすでに20になっていた。かつての自分なら、ここまで来るのにもっと時間がかかっただろう。それでも今の自分は、過去の経験とともに新たなスキルや戦略を覚え、着実に進んでいるのだと実感した。

新しい街は明るく、賑やかだった。NPCたちが行き交い、次のクエストを求める冒険者たちが集まっていた。遠くの空にはドラゴンの影がちらつき、近くの森にはモンスターたちがひしめいている。そんな中で、自分はどこか物足りなさを感じながらも歩き続けた。

ふと、誰かが声をかけてきた。「こんにちは、新規プレイヤーさん？」

その言葉に驚いて振り返ると、そこには見知らぬプレイヤーが立っていた。彼女は笑顔を浮かべており、どこか懐かしさを感じさせるその笑みが心に響いた。

「一緒にクエスト行かない？」その誘いに、一瞬躊躇したが、すぐに頷いた。今までは一人で進めていたが、誰かと共に進む楽しさをもう一度味わってみたかったのだ。

そのプレイヤーと共に新しいクエストに挑む中で、かつて家族やフレンドと遊んでいた時の感覚が少しずつ戻ってきた。強敵に苦戦しながらも、励まし合い、共に笑い合う。その瞬間がまた戻ってきた気がして、胸が熱くなった。

新しい仲間と共に次々とクエストをクリアしながら、彼女はふと思った。「一人は楽しいけど、ずっと一人はやっぱり寂しいな。」と。それでも、この冒険はまだ終わらない。これからどんな出会いや挑戦が待っているのか、楽しみは尽きなかった。

レベル20になったばかりの自分は、まだまだ未熟で、もっと強くなれると信じていた。そして、そのための仲間も見つけられると感じていた。新しい街での冒険が始まる予感に胸を躍らせながら、彼女は次の一歩を踏み出した。いつの日か、家族とフレンドと再び一緒にこの世界で冒険する日が来ることを願いながら。