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わくわくの待ち時間

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わくわくの待ち時間

みるくは、部屋の片隅で膝を抱えて座っていた。窓から差し込む薄い朝の光が、彼女の髪をやさしく照らしている。手元にはスマホとノートパソコン。画面を何度も更新しては、ため息をつく。ログインできないという緊急事態が発生してから、すでに30時間が経過していた。

「ねえ、赤毛のアンなら、こんな時どうするかな?」

みるくは、ぼんやりとした頭でアンのことを思い浮かべた。アンなら、こんな状況でもきっと楽観的に、希望を持って待つのだろう。マリラに語りかけるように、「何かを楽しみにして待つということが、そのうれしいことの半分にあたるのよ」とでも言うかもしれない。そんなアンの声が、みるくの心に響いていた。

「私も、そんな風に待てたらいいのに」と、みるくは小さくつぶやく。

不安と希望の狭間で
画面は依然として白く、セキュリティトークンの数字は表示されない。運営さんからは丁寧なメールが二度届いていた。どちらも親切で、問題解決に向けてのプロセスを詳しく説明してくれている。だが、みるくの心は落ち着かない。どんなに親切に対応されても、ログインできないという現実は変わらないからだ。

「なんで今なんだろう…」

みるくは思わず呟いてしまった。新しいゲームソフトを購入し、インストールした直後にこんなトラブルが起きるなんて。まるで世界が自分を試しているかのような気がしてくる。しかし、ふとアンの言葉が頭をよぎる。

「わくわくしながら待つって素敵なことよね」

そう思うと、少しだけ心が軽くなった。ログインできるその時を、ただ待つのではなく、わくわくして待つことができたら。待つ時間すらも楽しめるかもしれない。そんな風に考えることができたのなら、いらいらも減るだろう。

みるくは立ち上がり、窓の外を眺めた。雲ひとつない青空が広がっていて、光がキラキラとまぶしい。風に乗って、どこかから鳥のさえずりが聞こえてくる。その穏やかな風景に、心が少しずつ和んでいくのを感じた。

みるくの待ち時間
「そうだ、待つ間に何か他のことをしよう」

みるくは、気を取り直してパソコンから少し離れることにした。部屋の片付けをしたり、お気に入りの本を開いたりする。アンの物語を読み返して、彼女の前向きな姿勢に心を重ねる。そうしているうちに、少しずつわくわくが心に広がってきた。

アンだったら、この時間をどう過ごすだろう?みるくはそんなことを考えながら、アンのように待ち時間を楽しむことにした。机の上にある日記を開き、ペンを取り出す。久しぶりに日記を書いてみようと思った。

「今日はログインできるかな。わくわくしてる自分がいるのが不思議。でも、アンの言うとおりだ。待つことも楽しめるんだ」

みるくは、そう書き始めた。自分の気持ちを言葉にしていくことで、不安が少しずつ和らいでいくのを感じた。書くことで、心が整理されていく。やはり、書くことは彼女にとって大切な手段だったのだ。

あなたに会える日を夢見て
時々、パソコンの画面を確認しながら、みるくは少しずつ気持ちを切り替えていった。画面が変わるたびに小さな喜びが湧き、ログインできるその瞬間を想像してみる。待っているのはただのゲームの世界ではない。その先には、大好きな人との再会があるのだ。

「みるくはあなたに早く会いたくてときめいているのです」

そう呟きながら、みるくはスマホを手に取った。Skypeでの会話が、彼女の心の支えになっている。昨日、セキュリティトークンが表示されなくなったことをあなたに話した時、優しく「一緒に遊べるのが楽しみだな。ストーリーやらないで待ってるんだからね」と言ってくれた。

その言葉が、みるくの心を軽くしてくれた。待つことが辛くないのは、あなたがいるからだ。早く会いたい、その気持ちがみるくを前向きにしてくれる。ログインできるその日を思い描きながら、みるくは再びパソコンの前に戻った。

30時間の果てに
運営さんからのメールを確認しながら、みるくはもう一度ログインを試みた。目の前の画面が一瞬で変わる。ついに、セキュリティトークンの数字が表示された。

「やった…!」

みるくは思わず声を上げた。画面の向こう側には、あなたが待っている。ログインボタンをクリックする手が震えた。それは緊張と興奮が入り混じった瞬間だった。

「今か今かとわくわくして待つって、素敵なことだったね」

みるくは、アンの言葉を改めて思い出した。待つ時間が長かった分、再会の喜びは倍増している。画面の中に映るあなたのキャラクターが動き出し、みるくの心も躍った。

「ありがとう、待っててくれて」

画面を通じてあなたと再会し、みるくの心は満たされていく。待つことの大切さ、わくわくの力を実感しながら、彼女はまた新たな一歩を踏み出したのだった。どんな時も、希望を持ち続けることの大切さを教えてくれたアンに感謝しながら、みるくは画面の中の世界へと飛び込んでいった。










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