へたれゲーマーだということを証明します

課金ゲームの光と影

課金ゲームの光と影

みるくはパソコンの画面をじっと見つめていた。そこには、次に必要なアイテムの購入画面が表示されている。価格は1,273円（税込）。「また新しい奴買わないとだめなのかな…？」と、みるくはため息をつく。

彼女は最近、懐かしさに誘われてかつて遊んでいたオンラインゲームに復帰したばかりだった。当時、学校の友達と一緒に夜遅くまで遊んでいたあの頃の記憶がよみがえり、もう一度やってみようという気持ちになったのだ。しかし、その気持ちはすぐに現実の厳しさに打ちのめされることになる。

まず、ゲームにログインするためには基本料金として1500円が必要だった。無料プレイとはいえ、いざ本気でやろうとすると色々なものが足りないことに気づかされる。キャラクターの強化アイテムや、特殊なスキルを発動させるための装備品など、便利で強力なものがほとんど課金アイテムだったのだ。

「ちょっとゲームやるだけで、こんなにお金かかるなんて…」

計算してみると、あっという間に総額は7753円に達していた。みるくは一瞬、自分の目を疑った。たかがゲームにこんなにお金を使ってしまったのかと、自分の浅はかさに頭を抱える。

「もうちょっと慎重にするべきだったのかな…」

みるくは机に置かれたレシートの束を見つめた。スマホゲームの課金も含めると、月々の支出はどんどん増えていく。仕事で稼いだお金の一部は貯金に回すつもりだったが、その計画はすぐに頓挫してしまった。ゲームに夢中になるあまり、あれもこれもと購入ボタンを押してしまう自分が嫌になってくる。

「復帰しなければよかった…」

画面に映るキャラクターたちは、最新の装備を身に着けて華やかに輝いている。みるくもそんな装備を手に入れたいと思い、気づけばまた購入ボタンを押そうとしている自分がいた。それが叶わなければ、仲間たちとのダンジョン攻略で足を引っ張ってしまう。課金をしなければ、ゲーム内での活動は厳しくなるばかりだった。

「どうしてこうなったんだろう…」

みるくは、ゲームを始めた当初のことを思い出す。友達と一緒に遊びたい、それだけのシンプルな理由だった。けれども、現実はすでにみんなが進んでしまった後で、レベルも装備も追いつかない自分がいた。昔のように楽しめるかと思っていたが、それは幻想に過ぎなかった。

「あの頃は楽しかったのにな…」

当時の友達も、今では忙しくてログインする時間が少なくなっている。結局、みるくはひとりでプレイすることが増え、楽しさよりも虚しさが募っていく。ゲーム内でのランキングを見ても、上位には課金で揃えた装備のプレイヤーばかりが並んでいる。課金しないとどうにもならないという現実が、みるくのやる気を削いでいった。

「このまま続けても意味がないのかな…」

そう考えていると、ふと画面の向こうでキャラクターが動き出した。久しぶりにログインした友達からのメッセージが届いたのだ。彼は「一緒にやろう！」と声をかけてくれた。みるくは一瞬ためらったが、結局「もう少しだけ頑張ってみよう」と自分に言い聞かせて、パーティーに参加することにした。

「一緒に遊べるなら、それでいいか…」

みるくは小さく笑い、久しぶりの友達とのプレイに少しだけ心が軽くなるのを感じた。7753円は決して小さな出費ではなかったけれど、そのお金で得られるつながりがあるなら、無駄ではないと思いたかった。ゲームの中でも現実でも、やはり大切なのは一緒に楽しめる仲間の存在だと、みるくは改めて感じたのだった。