へたれゲーマーだということを証明します

みるくの決断

みるくの決断

みるくはオンラインゲームを始めてしまった。その瞬間、彼女のアルファポリスの投稿インセンティブはみるみるうちに34を切ってしまった。ランキングは下がり続け、収益は次第に減少していく。みるくの目標は月に1000円を稼ぐことだったが、このままでは達成できなくなるかもしれない。投稿の度に得られるわずかな報酬を大切にしていた彼女にとって、それはとても辛い現実だった。

「なんとかしないと……」

みるくは呟いた。目の前にはスマートフォンが置かれ、画面には新しいゲームのキャラクターが表示されている。ゲームを始めたばかりの彼女は、その世界に夢中になり始めていた。リアルなグラフィックと自由な冒険、そして他のプレイヤーとの交流に心を奪われてしまったのだ。

しかし、その代償はあまりにも大きかった。ゲームに没頭する時間が増えたことで、執筆の時間が削られていった。以前は毎日コツコツと書き溜めていた原稿も、今ではほとんど進まない。ゲームの情報を調べるためにインターネットをさまよう時間が増え、気づけば投稿の準備が遅れがちになっている。

「プレイ時間を減らすか、ゲームをやめるしかない」

心の中で自分に言い聞かせる。だが、ゲームを完全にやめるという選択肢を考えるたびに、みるくはため息をついた。ゲームの中で築き上げたキャラクターや仲間たちとの絆は、彼女にとってもうひとつの現実だったのだ。

その夜、みるくはふとんに横になりながら、明日のスケジュールを考えた。朝から仕事があり、帰宅後は疲れてしまっているだろう。その後にゲームのプレイ時間がどれほど必要か、そして執筆の時間がどれほど取れるか。計画を立てるのは簡単だったが、それを実行するのは別問題だった。なぜなら、ゲームは彼女にとってのリフレッシュタイムでもあったからだ。

翌朝、みるくは早起きをしてみた。久しぶりに自分の作品に集中してみようと思ったのだ。パソコンの前に座り、静かな朝の時間を使って執筆を始めた。キーボードの音が響き、物語の世界に入り込む感覚が蘇ってきた。ゲームのことは一旦忘れ、物語のキャラクターたちに意識を向ける。その瞬間、みるくは自分が書くことがどれだけ好きかを改めて感じた。

「やっぱり、書くのが好きだな……」

みるくは小さな笑みを浮かべた。執筆に没頭することができたのは、久しぶりの感覚だった。物語が自分の手の中で生き生きと動き出し、キャラクターたちの声が頭の中で響いてくる。そうしているうちに、時間はあっという間に過ぎてしまった。

だが、みるくは決めていた。ゲームは楽しむけれど、それに支配されないようにすること。彼女はゲームのプレイ時間を管理するアプリを導入し、自分の執筆時間を確保するためのスケジュールを作り直した。これ以上インセンティブが下がらないよう、できる限りの対策を講じたのだ。

「このままじゃ、目標の1000円を稼げなくなってしまう。でも、私は書くことをやめない」

みるくは決意を新たにした。ゲームを楽しむのもいいが、自分の夢を追いかけるために必要な努力を怠らないこと。それが彼女の答えだった。プレイ時間や下調べの時間を見直し、無駄な時間を減らしていく。そして、少しずつインセンティブの数字を戻していくのだ。

しばらくして、みるくのアルファポリスのランキングは少しずつ回復していった。作品の投稿頻度が戻り、読者からの反応も増えてきた。彼女の作品に共感してくれる人々が増え、それがみるくの執筆意欲をさらに高めてくれた。

「まだまだこれからだね」

みるくは自分に言い聞かせた。ゲームは彼女にとって大切な楽しみだが、それ以上に書くことが彼女の生きがいだった。少しずつ前に進んでいくことで、みるくはまた新たな物語を紡ぎ出していく。目標の1000円を達成するその日まで、彼女はゲームと執筆のバランスを保ちながら、自分の道を歩んでいくのだ。

みるくはふと窓の外を見た。朝日が昇り、今日もまた新しい一日が始まる。彼女の心には、小さな光が灯っていた。それは自分の夢を追い続ける強い意志の光だった。