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ゲームの壁とみるくの奮闘

ゲームの壁とみるくの奮闘

「また全滅か…」
みるくはため息をつき、画面のリトライボタンを眺めた。オンラインゲームのレベル上げをしている最中だったが、何度挑戦してもボス戦で全滅してしまう。サポートを変えてみたり、戦略を練り直してみたりするが、うまくいかない。特に今回は、ボスが2匹同時に出現する場面で、どうにも対応しきれずイライラが募る。

「一体どうしたらいいのよ…」
みるくは頭を抱えながら、再度パーティーメンバーと戦略を話し合う。彼女は職業として占い師を選んでいるが、操作が難しく、バトル中にカードを選んで使う手順が間に合わないことが多い。加えて、タロットカードのデッキの構築も不完全で、いざという時に役に立たない。サポートとしての役割を果たせず、仲間に迷惑をかけるのが心苦しかった。

「みるくさん、大丈夫？」
チャットに仲間からの励ましの言葉が流れる。みるくは頷きながらも、心の中では焦りが増すばかりだった。パーティーの他のメンバーは、みるくが足を引っ張っていることを知りつつも、優しくサポートしてくれていたが、その優しさが逆にプレッシャーになっていた。

「もう少し頑張ろう…」
みるくは自分に言い聞かせるように呟き、再度ボス戦に挑む決意をした。今度こそ勝てるようにと、攻撃のタイミングを考え、仲間の動きを見ながら自分の行動を調整していく。カードを選ぶ手も少しずつ慣れてきて、以前よりはスムーズになってきていた。しかし、ボスの攻撃が激しさを増すにつれて、みるくの焦りも再び戻ってきた。

「やばい、来る…！」
ボスが一斉に攻撃を仕掛けてきた瞬間、みるくは必死に回復のカードを選ぶが、間に合わずに全滅してしまう。
「あうあー…まただ…」
みるくは画面を見つめながら、ため息をついた。何度やっても結果は同じで、同じ失敗を繰り返しているような気がした。周りの仲間たちは「大丈夫だよ」と声をかけてくれるが、その優しさが逆に彼女の胸に重くのしかかる。

「なんで、こんなにイライラするのかな…」
みるくは椅子に座り直し、目をつぶった。ゲームは本来楽しむものであるはずなのに、今はそれが逆にストレスの源になっている。失敗を繰り返すたびに自己嫌悪に陥り、他のメンバーに迷惑をかけることに対する罪悪感が募る。

「このゲーム、こんなに難しかったっけ？」
一瞬、過去の自分を思い出す。最初にこのゲームを始めた時、みるくはただ楽しむことを目的にしていた。仲間と一緒に冒険し、ボスを倒す快感を共有し、時には失敗しても笑い合えるような、そんな純粋な楽しさがあった。しかし今は、レベルを上げること、攻略を進めることに必死で、その楽しさがどこか遠くへ行ってしまったように感じていた。

「もう少し、楽しむことを思い出さなきゃ…」
みるくは決意を新たに、画面に向き直る。イライラしても仕方がない。少しずつでも進んでいければ、それでいいんだ。失敗しても、それは自分の経験値になる。そう自分に言い聞かせながら、みるくは再びパーティーメンバーに声をかけた。

「もう一回やってみる？」
仲間たちはすぐに応じてくれた。彼らもまた、みるくと同じように失敗を繰り返しているが、それを楽しみながら乗り越えているようだった。
「よし、今度は作戦を変えてみよう！」
リーダーが新しい戦略を提案し、みるくもその指示に従いながら動いた。今度こそボスの動きを見切り、タイミングを合わせて回復を入れる。少しずつだが、みるくの動きがパーティーに貢献しているのを感じた。
「やった、ナイス！」
仲間からの声援に、みるくは久々に心の中で喜びを感じた。戦闘は激しさを増すが、みるくは今度こそ諦めずに最後まで戦い抜いた。結果はどうであれ、その過程を楽しむことができたことが何よりの収穫だった。

「また全滅したけど、今回は少しだけうまくいった気がする…」
みるくは画面を見つめながら、微笑んだ。失敗してもいい。何度でも立ち上がり、少しずつ進んでいくこと。それがみるくのゲームの楽しみ方であり、これからも続けていく理由だった。

「次は、もっといい結果を出せるように頑張ろう…」
みるくは仲間たちと再び作戦を練り直し、次の挑戦に備える。イライラもあるけれど、その向こうにはもっと大きな楽しさが待っている。彼女はそれを信じ、また一歩前に進むのだった。