戯れのあとで

春秋花壇

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ヤンデレ

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大好きだけど
諦めないとね
一年近くも
抱いてもらえない
悟らないとね
嫌われてるのに
無理させてるのに
ごめんなさい
他の人に抱かれて
諦めます
そうすれば
友達でいるしかなくなるから
ああ もう一度
もう一度だけでも
抱いてもらいたかった
ヤンデレから
がんばって卒業するね
ありがとう


彼がスマホをブロックしたの

今までもメール、7回もブロックされている

私は誰にも愛されない

生きる価値のない女なの

わたしは、子供のときから義理の父親に性的虐待を受けてきたの

だから、彼に始めて抱かれる時も

心はバージンだったけど

愛する人に抱かれて、

ときめき喜びふるえたけど

体は処女ではなかった。

バージンではないとわかると彼は、

義理の父のように性の奴隷にしたの

それも飽きるとぼろ雑巾のように捨てたの

わたしはたぶん、これから先も

誰に抱かれても同じようにおもちゃにされるの

真剣に愛を育もうとはしてもらえないの

だって、わたしは魅力のない

何の価値もない女だから

p(・・,*) グスン

だから、これから死のうと思うの

天井のかもいに腰紐を幾重にもまきつけて、

準備をしたの

面白いのよ。

途中で切れて落ちたとしても、

これから死ぬんだからどうでもいいことなのに、

キュッキュッてひっぱって、確かめてる自分。

家族もいないから、ぴかぴかにしなくてもいいのに、

せめて掃除だけはと、隅々まで丁寧に拭いて、

まるで禊のように……。

彼はね、最後にあったとき、

「別れてくれ、彼女はバージンだったんだ。

責任があるんだ」

って言ったの。

どうせ、私はバージンじゃないですよ><


「楽しかったよ、ありがとう」

そういって死にたかったけど……。

腰紐に首を入れて下の踏み台を蹴ろうとしたの

突然、玄関のドアが開いたの

ぜんぜん知らない

初めて会う男の人が入ってきたの

わたしはびっくりして

腰を抜かしそうになったの

ああ、死ぬことも許してもらえないのね

彼は、首をつろうとしている私の前に

正座したの

そして、ずーと見ているの

何にもいわないで

ただただ、優しく微笑んで

そばにいてくれたの

目の前で死ぬわけにも行かず、

腰紐から首をはずしたの

私の死ぬ気がなくなったのを確認すると

彼は、黙って出ていたったの

一体あの人は誰

何をしにここにきたの

次の日、掃除をしていたの。

卵を買いにスーパーに行って

戻ってきたら彼がドアの前にいたの

「昨日は失礼しました。

酔っ払って、一階上なのに、間違えちゃって」

彼はにこにこ笑いながら話したの。

とっても楽しそうだったの。

昨日のお礼もしたかったから、とりあえずお部屋に入ってもらったの。

ラッキョウとしょうがににんにくの味噌漬けをあてに

日本酒をお出ししたの。

久保田の万寿ほど、高級なお酒じゃないけど、

濃厚でまあまあ、おいしいお酒だとわたしは思ってるの。

いかの一夜干しも焼いてさっとあぶってお出ししたの。

彼は、とってもおいしいとパクパク食べて、

楽しそうに色んなお話をしてくれたの。

どうして、死のうとしたのかとか

何にも質問しなかった。

「仕事はあるの?」

ときかれたので、

「仕事はやめました」

と、答えたわ。

そしたら、彼が、

「お金を払うから、僕の部屋の掃除とご飯を作ってくれないか」

と、聞かれたから、オーケーしたの。

それから、毎日、わたしは彼の部屋の掃除とご飯を作りに

彼のお部屋にいったの。

はじめは、ゴミ屋敷みたいに色んなものが散乱して、

足の踏み場もなかったけど、

2日目には、いつでも、誰が来ても

「どうぞ」

と、および出来るお部屋になったの。

ご飯も、心をこめて、一生懸命作ったの。

あれから、半年、毎日毎日、

私は、彼のためにがんばったの。

いつしか、わたしは、

「こんな人のお嫁さんだったらいいのにな」

と、思うようになったわ。

半年たって、仕事から帰ってきた彼が、

婚姻届を持ってきて、

「結婚してください」

って言ったの。

「すき」

も、

「愛してる」

も、甘い言葉は一切なしでいきなり、プロポーズ。

それでも、私はとっても嬉しくて、

小さく頷いて、

「はい、よろしくお願いします」

と、いったわ。

あれから、5年がたった。

今では、家族4人で幸せに暮らしているの。

あの日、腰紐で死んだ女は、

悲しい寂しい私の残像。

新しい私は、

嬉しい楽しい朗らかな

春の日差しのようにきらきらした

優しいそよ風に頬をなでられるような

爽やかな運のいい人に

生まれ変わったの

彼は一度もどうして私が死のうとしたのかとか

聞かないのよ。

スマホも持たないし、彼のメールも知らないの。

用があるときは、固定電話。

重い女にはなりたくないの。

ヤンデレはいやなの。

私は彼を大好きだから、

またLINEいっぱい送ると嫌だから、

コントロールの難しいものは持たなければいいのよね。

それでも、愛してもらってるのがしっかり感じられる。

お仕事に行くときには、優しくキスしてくれるの。

わたしって、ひょっとしたらものすごーく

運がいい人なのかもしれない。

きっとそう。

生まれてきてごめんなさいじゃなくて、

生まれてきてよかったに変わったの。

私は私が好きです
私は私が好きです
私は私が好きです
私は私が好きです
私は私が好きです
私は私が大好きです
私は私が大好きです
私は私が大好きです
私は私が大好きです
私は私が大好きです
笑顔歯磨き
感謝行トイレ掃除
鏡は先に笑わない

ありがとうございます

レジリエンスを高めるの

今日は子供たちと彼とみんなですいとんを作っているの。

お豆腐を練りこんで、栄養もあるの。

みんなでこねこねすると、とってもにぎやかで楽しいのよ。

ナルヨウニナル シンパイスルナ

一休和尚


ヤンデレとは、キャラクターの形容語の1つ。 「病んでる」と「デレ」の合成語であり、広義には、精神的に病んだ状態にありつつ他のキャラクターに愛情を表現する様子を指す。 その一方、狭義では好意を持ったキャラクター(「デレ」)が、その好意が強すぎるあまり、精神的に病んだ状態になることを指す。ウィキペディアより引用
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