季節の織り糸

寒詣・寒参 1月31日

「寒詣・寒参」

1月31日。まだ寒さの残るこの日、私は一人、街の神社へと向かっていた。冬の風が頬を刺すように冷たくて、足元には薄く凍った雪が広がっている。道を歩くたび、凍りついた滝の音が耳に響き、まるで全てが凍りついたような静寂の中に包まれているような気がした。

神社に着くと、手水舎で冷たい水をすくい、手を洗う。その水の冷たさが、体の中に染み込むと、少しだけ心が落ち着いたように感じた。年の瀬の喧騒も静まり、神社はひっそりとしている。私の足音が石畳に響く。

「寒詣、寒参か…」

今年も寒い中、神社に足を運ぶことができたことに、少しの安堵を感じながら、手を合わせる。周りには鴨の羽音と、冬三日月が空に浮かぶ静かな景色だけが広がっている。寒い冬の中でも、自然は確実に動いている。

神社の境内には、冬薔薇が咲いている。しおれたような花が、雪の中で淡い色を放っているのがとても印象的だった。冬の寒さに耐えて咲くその花は、どこか強さを感じさせる。私も、何度も困難に立ち向かいながら、この場所に来ることができたのだ。

そのとき、ふと目に入ったのは、隣で静かに祈っている年配の男性だった。若菜のような穏やかな顔をして、何かに祈りを捧げているようだった。彼が手を合わせる姿は、どこか尊敬を感じさせ、自然と私もその人の祈りに耳を傾けていた。

「冬薔薇のように強くなりたい…」

心の中でそう思いながら、再び手を合わせた。どんなに寒くても、私も心の中に希望の種を植えて、少しずつ育てていこう。冬の雷が遠くで鳴り響き、静けさの中に、何かしらの決意を持ってその音を聞く。

帰り道、道端にはセロリや水仙が雪に覆われた土の上に顔を出していた。春の兆しを感じさせるその花たちは、まだ寒い日々の中でも、しっかりと生きている。その姿を見て、私は力をもらった気がした。寒さに負けず、春を迎える準備をしているように見えた。

「春遠し」と感じる日々が続く中で、私は寒さをしっかりと感じながら、少しでも自分の心に温かさを取り戻せるよう、日々を過ごしていた。冬の寒さに身を包まれながらも、どこかで春を待ち望んでいる自分がいる。それが、私の生きる力となっているのだろう。

その日、神社で祈りを捧げたことで、何かが変わるような気がした。心の中に温かい光が差し込んだような気がした。寒詣の行く先には、きっと何か新しい始まりが待っているに違いない。

帰り道に見上げる冬の富士山。その美しい姿は、寒さに包まれていても、全てを見守っているように感じた。私もまた、こうして自分の歩みを信じて進んでいこうと、決意を新たにした。

この小説では、冬の寒さを感じつつも、春の訪れを待ちながら心を強く持って生きる姿を描きました。寒詣や寒参が、物理的な寒さだけでなく、心の中の寒さにも向き合わせてくれることを示唆しています。


1月31日

春　隣

凍　滝

雪

鴨

冬三日月

若　菜

冬薔薇

富士山（冬）

春遠し

冬　菫

冬の雷

冬薔薇

セロリ

水　仙

寒

寒詣・寒参