季節の織り糸

春秋花壇

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山眠る里のぬくもり 1月25日

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山眠る里のぬくもり

山々が深い眠りにつく頃、里にはしんしんと雪が降り積もっていた。一月二十五日。暦は大寒の末候、水沢腹堅の頃。空は鉛色に覆われ、時折、雪がちらちらと舞い落ちてくる。それでも、時折顔を出す冬日は、弱々しいながらも、里を優しく照らしていた。

山の麓にある小さな家では、おばあちゃんのミヨが、ちゃんちゃんこを着て、炬燵に入っていた。炬燵の中は暖かく、猫のタマも気持ちよさそうに丸まっている。庭には、雪を被った水仙が、白い花を咲かせている。その傍らには、鮮やかな黄色の黄水仙も、寒さに負けじと咲き誇っていた。

「おばあちゃん、お昼だよ。」

孫娘のユイが、台所から顔を出した。ユイは、雪で外に出られないため、家の中で過ごしていた。今日は、ユイが楽しみにしていた鴨鍋だ。

「ああ、そうかい。いい匂いだね。」

ミヨは炬燵から出て、ゆっくりと台所へ向かった。食卓には、湯気を立てる鴨鍋が置かれている。鍋の中には、鴨肉の他に、白菜、ネギ、ごぼう、そして山で採れたなめこなど、たくさんの具材が入っている。

「いただきます。」

ユイとミヨは手を合わせ、鴨鍋を囲んだ。熱々の鍋をつつきながら、二人は他愛もない話をした。外は寒いけれど、家の中は暖かく、穏やかな時間が流れていた。

食事が終わると、ユイは窓の外を見た。雪は止み、空には薄い雲がかかっている。遠くの山々は、雪を被って静かに眠っている。

「おばあちゃん、鷹が見えるよ。」

ユイが指差す方を見ると、一羽の鷹が、悠々と空を舞っていた。冬の澄んだ空気の中、鷹は力強く羽ばたいている。

「ああ、あれは山の番人じゃ。山が眠っている間、見守ってくれてるんじゃよ。」

ミヨはそう言った。山眠るという言葉が、ユイの心に深く染み渡る。山は静かに眠り、春の訪れを待っている。

その日の午後、ユイは庭に出て、雪遊びをした。雪だるまを作ったり、雪合戦をしたり。雪で冷えた手を、ちゃんちゃんこで温めながら、ユイは雪の世界を楽しんでいた。

夕方になり、空が暗くなってきた。家の中に戻ったユイは、ミヨと一緒に、夕食の準備をした。今日の夕食は、温かい卵雑炊だ。寒卵を使った雑炊は、体が温まる。

食事が終わると、二人は炬燵に入り、テレビを見ていた。外は再び雪が降り始め、窓の外は真っ白になっている。

「おばあちゃん、お星様が見えないね。」

ユイが窓の外を見ながら言った。

「今日は雪じゃからね。でも、きっとお空の上では、寒昴が綺麗に輝いているじゃろう。」

ミヨはそう言った。寒昴とは、冬の夜空に輝くプレアデス星団のことだ。

夜が更け、ユイは自分の部屋に戻った。窓から外を見ると、雪は降り続いていた。雪に覆われた世界は、静かで、どこか幻想的だ。

ユイはベッドに入り、目を閉じた。今日一日を振り返る。温かい鴨鍋、雪遊び、おばあちゃんとの会話。どれも、ユイの心に残る、大切な思い出だ。

山眠る静かな夜。雪がしんしんと降り積もる中、ユイは温かい眠りについた。春の訪れを待ちながら。


1月25日

水 仙

冬 雀

黄水仙

鴨 鍋



冬 菫

寒 卵

寒 昴

悴 む

初天神

冬日和

ちゃんちゃんこ

冬 日

山眠る





なめこ
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