季節の織り糸

雪国の冬 1月9日

雪国の冬

雪が静かに降り積もる日、カトリーヌは窓の外を見つめていた。足元から、空まで、すべてが白一色で包まれている。遠くの山々も、家々の屋根も、すべてが雪に覆われ、冬の静けさが一層深く感じられる。まるで時間が止まったかのようなこの風景に、彼女は思わず息を呑んだ。

「雪国…」彼女は小さく呟いた。実際、彼女が育った場所とは異なり、雪の降り積もる場所は一度も訪れたことがなかった。それでも、子供のころから絵本や話の中で、雪の国の美しさにはずっと憧れていた。

その日、ミカエルと一緒に町を歩くことになった。彼は雪の中を歩くのが好きだと言って、カトリーヌを誘ったのだ。カトリーヌは少し戸惑いながらも、雪の中を歩くことを楽しみにしていた。

町の広場に出ると、雪の上に足音が響く。歩くたびに、ふわりと雪が舞い上がり、冷たい空気が肌に心地よい。広場では、小さな猿回しが行われていた。猿たちがかわいらしく踊る姿に、周りの人々は思わず笑顔を浮かべている。

「こんなに雪が降っても、猿たちは元気だな。」ミカエルが言った。

「そうね。寒さなんて気にせず、楽しそう。」カトリーヌは微笑んだ。猿たちが手を合わせ、喜んで踊る姿が、雪の中でひときわ輝いて見えた。

そのまま歩いて行くと、店の軒先でおでんを売っている屋台が見えてきた。湯気が上がり、温かそうな香りが空気を包んでいる。カトリーヌは思わず歩み寄り、ミカエルも同じように目を輝かせた。

「寒い日におでんって、最高ね。」カトリーヌは言いながら、おでんの具を選んだ。鶴のように細長い串に、温かいだしが染み込んだ大根や卵、こんにゃくが刺さっている。

「これで、ちょっとは温まるね。」ミカエルが頷いた。二人は屋台の隅に立ち、熱いおでんを食べながら雪の景色を楽しんだ。

その後、雪道を少し歩くと、冬の椿が咲いているのを見つけた。雪の白さに対して、赤や白の椿の花が鮮やかに映えている。その美しさに、二人は足を止めてしばらく見とれた。

「冬に咲く椿って、特別な気がする。」カトリーヌが言うと、ミカエルは頷いた。「強さと美しさを持っている花だよね。」

彼女はその言葉に深く同意した。冬の冷たい空気の中でも、椿は堂々と花を咲かせている。その姿が、雪国の冬の厳しさを乗り越える力強さの象徴のように思えた。

歩きながら、カトリーヌは今年の初めのことを思い出した。去年と今年がどれだけ違うか、そんなことを考えていた。

「去年と今年、どうだった？」ミカエルが突然、問いかけた。

「いろいろあったけれど、私は満ち足りていると思う。」カトリーヌは笑顔で答えた。「特に、この雪景色が見られて、とても幸せ。」

その時、空を見上げると、初めての雪が降る空が広がっていた。雪の降る空の下、二人は並んで歩きながら、未来に思いを馳せていた。兎のように軽やかに跳ねるような気持ちで、彼女は新しい年の始まりを迎えていた。

しばらく歩くと、町の端に小さな神社が見えてきた。雪の中にひっそりと佇む神社の前に、立ち止まった二人は深呼吸をした。その空気は凛と冷たく、清々しい。

「初詣に行こうか。」ミカエルが言うと、カトリーヌは微笑んで頷いた。「お願いごとをするのは、久しぶりだね。」

二人は神社の境内に入り、手を合わせて新しい年の願い事をした。心の中で、これからの一年が穏やかで、幸せに満ちたものであるようにと、祈った。

その後、町の広場に戻ると、スノーボードをしている若者たちの姿が目に入った。雪の斜面を軽やかに滑る彼らの姿に、カトリーヌは少し驚いたが、その自由さと楽しさに心が温かくなった。

「若者たちは、冬の楽しみ方を知っているんだね。」ミカエルが言うと、カトリーヌも頷いた。「私たちも、こうやって雪を楽しんでいるんだから、彼らも楽しいに違いない。」

その日、カトリーヌとミカエルは一緒に雪国の美しい冬を堪能した。雪が降り積もる中で過ごす時間は、彼女たちにとって一生忘れられない思い出となるだろう。

雪が静かに降り続けるその夜、カトリーヌは窓辺に座り、雪景色を見ながら、心が穏やかに包まれていくのを感じていた。


1月9日

雪　国

鶴

おでん

鴨の陣

雪

去年今年

福寿草

猿回し

初　雀

冬　椿

雑　煮

年　神

冬木の桜

初　空

兎

スノーボード