季節の織り糸

元日 1月1日

元日

一月一日。凍えるような寒さの中、東の空がゆっくりと茜色に染まり始め、新しい一年の幕開けを静かに告げていた。雪を抱いた山々の稜線は、朝日に照らされ輝き、まるで神々の息吹を感じさせるようだった。街は静まり返り、時折、遠くから初詣に向かう人々の足音が聞こえてくるだけだった。

高台にある佐藤家では、家族が集い、穏やかな新年を迎えていた。障子を開けると、清冽な空気が部屋に流れ込み、身が引き締まる。庭の梅の木には、白い花が数輪、静かに咲き始めていた。

「おはよう。」

父の健太郎の声に、家族がリビングに集まってきた。母の美咲は、忙しそうにお雑煮を仕上げている。子供たち、優太と花は、目を擦りながらも嬉しそうにリビングへと向かってきた。

「わあ、お雑煮の匂い、すっごくおいしそう！」

花が顔を輝かせながら言うと、優太もにっこりと笑った。

食卓には、色とりどりのおせち料理が並べられ、温かいお雑煮と、美咲が焼きたてのもちもちの餅が湯気を立てている。家族全員が揃い、「いただきます」と声を合わせ、新年の食事が始まった。

「お父さん、お雑煮おいしい！」

優太が声を弾ませて言うと、健太郎はにっこりと笑いながら答える。

「そうか。今年はどんな一年にしたい？」

優太は少し考えた後、嬉しそうに答えた。

「うーん、今年はもっとサッカーが上手になりたい！それと、漢字をもっと覚えたいな！」

花も照れくさそうに言った。

「私は、ピアノをもっと練習して、綺麗な曲を弾けるようになりたい。それと、お友達とたくさん遊んで、みんなで楽しい時間を過ごしたい！」

美咲は微笑みながら、優太と花に温かい眼差しを送った。

「二人とも、素敵な目標ね。お母さんも、今年はみんなが健康で、笑顔いっぱいで過ごせるように、心を込めてご飯を作るわ。」

健太郎は少し遠くを見つめながら、静かに言った。

「今年は、新しいプロジェクトが始まるから、少し忙しくなるかもしれない。でも、それでも家族との時間を大切にしたいと思っている。みんなで旅行にも行きたいな。」

食事を終えた後、家族は初詣に出かけるため、外に出た。澄み切った青空の下、参道はすでに多くの参拝者で賑わっていた。手水舎で手を清め、本殿の前で無病息災を祈った。おみくじを引くと、優太は「大吉」、花は「中吉」と、今年の運勢に希望を抱く二人だった。

参拝を終えた後、家族は近くの公園に寄ることにした。雪がまだらに残る広い公園で、子供たちは白い息を吐きながら、雪合戦をしたり、凧揚げをして遊んだりして、元気いっぱいに過ごしていた。健太郎と美咲は、公園のベンチに座りながら、穏やかな日差しを浴び、静かな会話を楽しんでいた。

「こうして、家族みんなで新年を迎えられることが、何より幸せだと思う。」

美咲がしみじみと語ると、健太郎も穏やかな顔で頷いた。

「うん、本当にそうだな。今年もきっと、良い一年になるさ。」

夕方、家に戻ると、美咲は七草粥の準備を始めた。一月七日に食べる七草粥には、お正月のご馳走で疲れた胃を休め、無病息災を願う意味が込められている。

夜、家族は再び食卓を囲みながら、温かい七草粥を啜った。その温もりに包まれながら、一日の出来事を振り返る。

「今日、神社でね、おじいさんとおばあさんが孫の手を引いて歩いているのを見て、すごく心が温かくなった。」

花が話すと、優太も頷きながら言った。

「僕もね、凧揚げをしてたら、知らないお兄さんが凧の揚げ方を教えてくれたんだ。それがすごく嬉しかった。」

健太郎と美咲は、穏やかな笑みを浮かべながら、子供たちの話を聞いていた。新しい年は、こうして小さな出来事の中に温かな希望や絆を感じさせてくれる。

夜空に輝く満月を見上げながら、家族は心の中で静かに祈った。今年も、みんなが幸せで、健康に過ごせますようにと。佐藤家の元日は、穏やかに、そして希望に満ちて終わった。


1月1日

大　旦

元　朝

元　日

歳　旦

鶏　旦

元　旦

初明り

年　玉

明の春

年の始

新　年

御　慶

春　永

参　賀