季節の織り糸

春秋花壇

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冬の調べ

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冬の調べ

12月17日、冷たい風が吹き抜け、冬桜がほんのりとした寒さの中でひっそりと咲いている。師走の慌ただしさが広がるこの季節、街の中心から少し離れた場所に、貴族たちが集う冬の舞踏会が開かれるという噂が立っていた。

会場は大きな屋敷、蓮根掘る農民の手によって手入れされた庭には、枯れた草が薄く覆い、冬の空が低く重く広がっていた。そんな中、バルコニーから覗く庭を見つめていたのは、貴族の令嬢エミリア・アスカロンだった。

「今日こそは、素敵な一夜になるはず」と、彼女はひとりごちた。冬の鵙が遠くで鳴く音に、彼女は少し耳を傾ける。その音に合わせるように、会場内では人々の笑い声や音楽が響いていた。

舞踏会の準備が整う中、エミリアは部屋の隅で他の貴族たちと少し離れてひとり佇んでいた。彼女は、いつもとは違う空気を感じていた。今夜、彼女にとって特別な意味を持つ何かが起きる予感があったからだ。

その夜、エミリアの目に留まったのは、広間に一人静かに立っている男性だった。彼の名はルシウス・ディヴァル。彼は一見無関心な表情を浮かべながら、貴族たちの社交に無理に参加することなく、静かに周囲を見守っていた。その目には、何か秘密めいたものがあった。

「まるで冬の空のように冷たく、美しい人…」エミリアはふと心の中でつぶやいた。その視線を向けた先にルシウスがいることに気づくと、彼は少し微笑み、エミリアに向かって歩き出した。

「お嬢様、今夜は寒いですが、あなたの姿が暖かさを感じさせます」と、ルシウスは声をかけた。

エミリアは少し驚き、目を大きく開けて彼を見つめた。「ありがとうございます…」と、つい口にしてしまった。

ルシウスの目の中には、エミリアをじっと見つめる深い意味が込められていた。まるで何かを試すかのように、彼の目線は彼女の顔から離れなかった。「貴女の目に、何か深いものが宿っている。だから、今夜こそは、私の手を取ってください。」

その瞬間、エミリアの胸が高鳴った。舞踏会の音楽が変わり、踊りのリズムに合わせて、二人は静かに踊り始めた。彼女の手はルシウスの手のひらに包まれ、まるで時間が止まったかのように感じられた。

外では、枯れ野を吹き抜ける冷たい風の音が遠くに聞こえてきたが、エミリアとルシウスはその世界に閉じ込められたようだった。彼の手は優しく、確かに彼女を引き寄せ、二人の足取りはすべての目を引くほどに美しい。

「どうしてこんなに心が落ち着くのでしょう?」とエミリアはふと尋ねた。

「それは、私たちが今、心の中で一つになっているからでしょう。まるで雪鬼のように冷たい世界でも、温かなものが必ず存在するのだと教えてくれる。」

彼の言葉は、エミリアの胸に深く響いた。舞踏会の音楽が続く中、彼女はその優しさに包まれることができた。

しばらく踊りながら、エミリアは心の中で思い浮かべていた。もしも、この時が永遠に続けばいいのに、と。その瞬間が、まるで白鳥が羽ばたくように、きらめきの中で二人を導いているようだった。

その後、舞踏会が終わりに近づくと、外の枯れた木々の間にひとひらの雪が舞い降り、冬の木々が静かに揺れた。南天の実が輝き、エミリアとルシウスは一緒に庭を歩きながら、最後の言葉を交わすこととなった。

「これからも、あなたと共に歩んでいけるのでしょうか?」エミリアは少し寂しげに尋ねた。

ルシウスは静かに頷き、「もちろん。冬のように冷たい世界でも、君となら、温かな光を見つけられる」と言った。

その言葉に、エミリアは胸がいっぱいになり、ルシウスの手をしっかりと握り返した。

外の寒さが、二人の心をさらに近づけるように感じられた。その夜、冬の舞踏会は、彼女にとって忘れられない思い出となった。


12月17日

師 走

冬 桜

藪 巻

海 鼠

草 枯

冬の鵙

蓮根掘る

冬の空

黄 落

黄 落

棕櫚剥ぐ

枯 野

南天の実

雪 鬼

白 鳥

冬 木

鹿 狩
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