季節の織り糸

春秋花壇

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冬の朝、小鳥来る 12月5日

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冬の朝、小鳥来る

冬の朝、窓の外に見える庭は霜で白く覆われていた。青白い光が薄明るい空を染め、庭木の枝には小さなスズメたちが寄り添うように集まっている。そんな光景を見ながら、琴葉(ことは)は手の中の毛糸玉をそっと撫でた。

「これで最後ね。」

彼女が編み続けていたマフラーは、ようやく完成を迎えようとしていた。淡いクリーム色の毛糸で編まれたそれは、どこか温かみがあり、少しだけいびつな模様が愛らしい。

このマフラーは、ある人への贈り物だった。

隣町に住む幼馴染の湊(みなと)。彼は小さい頃から鳥が好きで、季節が巡るごとに庭にやって来る小鳥たちを観察しては、琴葉に話してくれていた。湊が大学へ進学してから、二人は会う機会が減ったが、彼が送ってくれる手紙にはいつも季節の鳥の話が書かれていた。

──もうすぐ冬だね。最近、ジョウビタキが庭に来るんだ。琴葉もいつか見に来ればいいのに。

彼の手紙には温かさがあった。読み返すたびに、琴葉の心もほっとした気持ちになった。

その日の午後、琴葉はマフラーを手に湊の家へ向かった。雪が降り始めていたが、冷たい空気が肌に触れるたび、なぜか胸が高鳴った。

湊の家に着くと、彼の母親が笑顔で迎えてくれた。
「湊なら庭にいるわよ。相変わらず鳥を見てるのよ。」

庭には湊が立っていた。彼の肩には赤いジョウビタキがとまり、凍えるような冬の中でもどこか温かな雰囲気が漂っていた。

「湊、久しぶり。」
琴葉の声に振り向いた湊の顔は、驚きと喜びが混ざった表情だった。

「琴葉! 来るなら言ってくれたら良かったのに。」
「急に思い立ったの。はい、これ。」

そう言って、琴葉はマフラーを湊に渡した。湊は驚きながらも嬉しそうにそれを受け取る。

「これ……琴葉が作ったの?」
「うん、不器用だけど頑張ったんだから。」

湊はその場でマフラーを巻いた。少し長すぎるのか、端が垂れ下がったが、彼の笑顔はその小さな不格好さをすべて覆い隠してしまうほど輝いていた。

「温かい。ありがとう、琴葉。」

その時、湊がふと空を見上げた。雪が静かに降り注ぐ中、小さな小鳥たちが二人の周りを飛び回っていた。

「ジョウビタキも嬉しそうだな。」
「私も嬉しいよ。」

そう言った琴葉の頬は、雪の寒さとは違う赤みを帯びていた。湊もその顔を見て、小さく微笑む。

「これからも、季節の鳥を一緒に見に来てくれる?」

その言葉に、琴葉は頷きながら答えた。

「うん、ずっと一緒に。」

冬の朝、小鳥たちの歌声が二人の心をそっと包み込んだ。


12月5日

時 雨

紙 漉

枇杷の花

綿 虫

石蕗の花

襟 巻

冬帽子

冬の日

冬 苺



霜 夜

冬珊瑚

冬 木

毛糸編む

霜 夜



冬の朝



小鳥来る
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