季節の織り糸

冬を迎える日 11月23日

冬を迎える日

11月23日、河豚の季節がやってきた。村の港町では、この時期になると新鮮な河豚が市場に並び、冬の到来を告げる特別な料理が人々を待っていた。寒さが深まりつつある中、私はその活気を感じながら歩いていた。

街角には、落葉が舞い散り、秋桜が最後の花を咲かせていた。その鮮やかな色合いが、すでに冬の足音が近づいていることを告げているようだった。秋ざくらの木々も、薄く紅く染まり、その美しい姿が心を温める。しかし、秋の色がまだ残っている中で、神の留守という言い伝えに従い、人々はしばしの間、神を感じることなく日常を過ごす。

柿紅葉が街道沿いに広がり、短日となる時間の中で、どこかしら焦燥感を感じる。勤労感謝の日ということで、町の人々は仕事を終え、収穫に感謝の意を表している。しかし、私はその忙しさに身を任せることなく、自然の中で静かな時間を過ごしていた。

冬に入る準備が整う中、黄落が進んでいく。街の風景は、紅葉の余韻とともに、次第に枯れ葉とともに寂しくなり、麦蒔が始まる。畑の土が耕され、冬の準備が着々と進んでいるのを見ながら、私は足元の草を踏みしめて歩き続けた。

坂道を登ると、小鳥たちが集まってきて、冬の訪れを知らせていた。松葉蟹が水揚げされる季節でもあり、港町ではその匂いが漂ってきて、私は思わずその足を止めた。蟹を蒸す香りが温かく、冬を迎える準備が進んでいることを実感させてくれる。

市場では、鉢叩きの音が響き渡り、人々がその音に合わせて働いていた。木の葉髪を揺らしながら、道を歩くと、狐の姿を見かけることがあった。その狐が私を見つめ、何かを訴えるように目を合わせる。私はその視線を感じながらも、足を進めることなく立ち止まり、狐の動きを静かに見守った。

狐は、まるで私に何かを伝えたがっているかのようだった。そして、突然、私の前に吊し柿がぶら下がった。色鮮やかな柿が冬の寒さに耐えながらも、甘さを保っている。その姿に、私は心を打たれると同時に、自然の力強さを感じた。

町の広場では、おかめ市が開かれており、賑やかな声が響き渡っていた。祭りの準備が進み、七五三の祝いを迎える子どもたちが、きらびやかな衣装を身にまとい、村の人々の祝福を受けていた。その笑顔が冬の冷たさを和らげ、温かな空気が広がっていた。

私はその様子を見守りながら、ふと胸の中で一つの思いを抱いた。この先、冬の季節が深まるにつれて、また新たな年が訪れるのだろう。そして、自然が与えてくれる恵みに感謝しながら、私自身もこの町の一員として、日々を大切に過ごしていこうと心に誓った。

夜が近づくにつれ、寒さが一層厳しくなり、空にはシリウスの輝きが一際強く浮かび上がる。星々が冬の夜空を彩り、静けさの中でその存在を感じることができる。この夜空の下で、私は新しい季節の始まりを迎えようとしている。

その夜、私は家に戻ると、暖かい部屋の中で心地よい温もりに包まれながら、ゆっくりと過ごした。外の寒さとは裏腹に、心の中には穏やかな思いが広がっていた。冬を迎える日、私はその静けさの中で、また一つの新しい時を刻んでいくのだと感じていた。


11月23日

河　豚

落　葉

秋ざくら

神の留守

柿紅葉

短　日

勤労感謝の日

冬に入る

黄　落

麦　蒔

坂　鳥

松葉蟹

鉢　叩

シリウス

木の葉髪

狐

吊し柿

おかめ市

七五三