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芋煮会と冬の雨 11月16日

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「芋煮会と冬の雨」

11月16日、空はどんよりと曇り、冷たい冬の雨がしとしとと降り始めた。山間の村で行われる恒例の「芋煮会」の日だったが、朝から降り続く雨のために、村の人々は少し浮かない顔をしていた。

小学校の校庭で、子どもたちが傘を差しながら待ちわびる中、村長が集まった人々に向かって声を張り上げた。

「今日は雨ですが、やっぱり芋煮会は外でやりましょう!みんな、焚火を囲んで暖まりながら楽しんでください!」

その声に少しずつ笑顔が戻り、傘をたたむ人たちが焚火の周りに集まった。煙が湿った空気の中に漂い、薪がじりじりと燃える音が心地よいリズムを刻む。やがて大きな鉄鍋がかけられ、鰹節の効いた出汁が香ばしく湯気を立てはじめた。

美咲もその輪の中にいた。彼女は東京から夫の故郷であるこの村に引っ越してきたばかりで、芋煮会も初めての経験だった。都会の喧騒とは全く異なるこの村での生活にまだ慣れきれず、少し心細い気持ちも抱えていたが、こうして村の行事に参加していると、少しずつ温かさが心に広がっていくのを感じた。

「お姉さん、これどうぞ!」と、子どもたちが手渡してくれた小さな皿には、たっぷりの具材が入った芋煮がよそわれていた。美咲はお礼を言い、熱々の芋煮を口に運んだ。とろけるような京芋と、出汁のしみた牛肉が絶妙に絡み合い、体の芯から温かさが染み渡っていく。

「うまいわぁ。やっぱりこの味が一番やなあ」と、隣に座っていた年配の女性がしみじみと呟いた。その言葉に、美咲も自然と頷いた。美味しさだけでなく、村の人々の心がこの一杯に込められているのだと感じたからだ。

ふと、美咲は木々の向こうで静かに紅葉する山々に目を向けた。雨に濡れた葉は、艶やかな照りをまとい、冬の訪れを思わせる静かな輝きを放っている。晩秋の景色に、ふと物寂しさも感じたが、村の人々の賑わいがその寂しさをそっと包み込んでくれているようだった。

「今年も鳥が渡ってきて、これから冬の準備が始まるわね」と、別の村人が呟いた。その言葉に美咲は耳を傾け、自然のサイクルが日常に根付いているこの村での暮らしを、少しずつ受け入れていこうと思った。

その日、芋煮会は雨にも負けず夕方まで続いた。子どもたちは遊び回り、大人たちは焚火を囲みながら語らい、村全体が一つになって冬の訪れを迎え入れていた。湯冷めしないようにと声を掛け合いながら、みんなで片付けを済ませ、家路に着いた頃には、心も体も満たされていた。

美咲は、家に帰ると静かに一息つき、暖かい布団に潜り込んだ。冬の雨音が外で静かに響いていたが、その音すらどこか心地よく感じられた。村での暮らしは、まだ始まったばかりだが、少しずつ馴染んできている自分を感じながら、美咲はゆっくりと目を閉じた。


11月16日

鳥渡る

冬の雨

芭蕉忌

紅 葉

照 葉

渋 柿

冬に入る



鳥わたる

素 秋

芋煮会

ねんねこ

きりたんぽ

マント

冬 鶯



もみじ

海老芋・京芋

湯冷め
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