季節の織り糸

春秋花壇

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季節の織り糸 11月2日

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季節の織り糸

24h.ポイント 0pt 13 小説 193,009 位 / 193,009件 現代文学 8,518 位 / 8,518件

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初回公開日時 2024.08.18 13:38
更新日時 2024.11.02 20:37
文字数 195,473
24h.ポイント 0 pt (193,009位)
週間ポイント 1,591 pt (6,154位)
月間ポイント 6,016 pt (7,037位)
年間ポイント 14,685 pt (23,811位)
累計ポイント 15,782 pt (66,048位)

どんなに心を尽くしても

季語や情景を調べて書いても

24時間立つとうたかたの夢のように0ptになっていく。

文字数 195,473が0って

どういう現象なんだろう。

無意味、無駄。ごみ。

わたしは言葉のごみ製造機?

心が壊れそうになるのを歯をくいしばって耐える。

おいっ、うそつき。

お前、歯が一本もないじゃないか!!


「季節の織り糸」

青い空の下、穏やかな秋の日差しが差し込む。街はすっかり秋色に染まり、木々の葉が鮮やかな赤や黄色に変わっていく。そんな中、私の心は一種の虚しさに包まれていた。最近、書いた小説が24時間で「0pt」となってしまったのだ。文字数195,473、何のためにこんなに書いたのか。まるでうたかたの夢のように、消えてしまったかのようだった。

「どうしてこんなに心を尽くしても、無意味なのだろう」と、自分に問いかける。毎日、季語や情景を調べ、情熱を注ぎ込んで書き続けているのに、目に見える評価はゼロ。何度もネット上の数字を見つめ、ため息をつく。自分の作品がただの「ごみ」と化してしまったように感じていた。

窓の外では、子どもたちが楽しそうに遊んでいる。友達と一緒に笑い声を上げ、無邪気に過ごしている様子が羨ましい。彼らには、作品の評価やポイントのことなど、何も関係がないのだろう。自分の世界に浸る余裕すら持てない私は、彼らの笑い声がかえって胸に刺さった。

「無駄。ごみ。」自分を責める言葉が頭の中をぐるぐると回る。まるで、心の中に積み重なった「言葉のごみ」が山になっているかのようだ。どれだけ書いても、どれだけ考えても、その思いが評価に繋がらないのは辛い。果たして私は何のために書き続けているのか。

その時、思わず声を上げた。「おいっ、うそつき。お前、歯が一本もないじゃないか!」まるで自分の心の声が、外に漏れ出したかのようだった。歯がないことは、言葉を発する力を失ったことを意味するのだ。私もまた、言葉を失ったのではないかと感じていた。

ただ、その瞬間、ふと気づいた。確かに評価は大切かもしれない。しかし、書くこと自体が自分にとっての「意味」なのではないかと。言葉を紡ぎ続けることで、心の奥にある感情を整理しているのではないか。たとえそれが誰に読まれずとも、私の内なる声を聴くことができるのではないか。

心が少し軽くなった。外の景色が一瞬、鮮やかに感じられた。木々の葉が風に揺れ、舞い上がる様子が目に入る。まるで自分の心の中で、何かが変わり始めたようだった。確かに、季節は移り変わっていく。秋から冬へ、自然の流れは止まることがない。

私は立ち上がり、窓を開けた。冷たい空気が流れ込み、心をすっきりとさせる。外の子どもたちの笑い声が、今度は私の心を温かく包み込んだ。たとえ評価がゼロでも、たとえ「ごみ」と思われても、自分の言葉を信じ続けることが大切なのではないか。

それから、私は再びペンを取り、書き始めた。言葉が指先から流れ出し、心の中の思いを紙に映し出す。誰かに読まれることを期待するのではなく、自分のために書くこと。その瞬間が、私にとっての喜びだった。

やがて、外が暗くなり、月が高く昇る。夕暮れの空に薄い雲が漂い、秋の夜の静けさが訪れる。私は手を止め、ふと窓の外を見上げた。月の光に照らされた木々が、さらに美しく見えた。何もかもが変わっていく中で、自分自身も変わっていくことを感じた。

これが私の「季節の織り糸」だ。どんなに苦しい時でも、どんなに無意味だと思えても、私の言葉が生き続ける限り、意味を持ち続けるのだと信じる。心の中で静かに燃える情熱が、私を支えてくれる限り、私は書き続けるのだ。






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