季節の織り糸

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秋色籠 10月24日

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秋色籠

10月24日。秋の気配がすっかり深まり、山野の植物たちは静かに実りを迎えていた。木の実は一つずつ熟れ、葉は次第に落ち、風に揺られ、冬支度の準備を始める。爽やかな風が舞う朝、村の小道を歩く彼女、澪(みお)は小さな籠を手に、野山へと足を運んでいた。自然をこよなく愛する澪の目当ては、秋にしか見られない風景と、収穫できる季節の贈り物たちだった。

木の実が濃い茶色に色づき、朝露で光る様子に澪の心は穏やかになった。籠の中には栗がいくつか転がり、あちらこちらに隠れる藤の実や、ほのかに紫がかった紫式部の実も添えられていく。彼女は静かに自然の息遣いを感じながら歩いた。遠くでは鵙(もず)がさえずり、清々しい秋の風が澪の肩をそっと押すように吹き抜けた。しばらく歩いた先には、松林が広がっている。

この村には昔から続く「松手入れ」という伝統があった。冬に備えて松の枝を整え、来年の春に美しく芽吹くよう手を尽くす。松の手入れをするのは村の長老たちで、澪もまたその仕事を手伝っていた。彼女はふと、小さな実がついた水木(みずき)に目を留めた。みずみずしい実の色合いは赤く、澪の心を落ち着かせる。水木の枝を少しだけ摘み、籠に入れた。

澪は、朱鷺(とき)の話を思い出した。彼女が小さい頃、祖母から教えてもらった朱鷺は、秋の村に一度舞い降りたことがあるという。その羽は鮮やかな朱色で、村の空を一瞬だけ彩ったという。澪はいつかその美しい鳥を見てみたいと思い、朱鷺のような赤い実を見つけるたびに、遠い空に思いを馳せていた。

道中、彼女の籠には御所柿(ごしょがき)と信濃柿(しなのがき)も加わった。どちらもこの地域で愛される柿の種類で、果肉が豊かで甘みが強い。柿の甘い香りが籠から漂い、秋の豊かさを思わせる。彼女はふと、幼い頃のことを思い出した。澪は秋の収穫を祖父母と楽しんだもので、採れた柿や木の実を囲んで笑い合った記憶が今も鮮やかに残っている。

そうして歩き続け、ついに澪は出雲大社が遠くに見える丘の上まで来た。風は冷たく色なき風が吹きつけるが、その清涼感は彼女に秋の静けさと神聖さを感じさせた。少し息をつき、目を閉じて深呼吸する澪。手にした籠は秋の実りでいっぱいになっていた。

日が傾き、山々が赤く染まる頃、澪は家路についた。これから夕食を祖父母と囲み、今日収穫した実りを分かち合うつもりだった。自然がくれるささやかな贈り物とともに、季節の移ろいを感じるひと時。澪はこの一瞬一瞬を大切に胸に刻み、また来年も秋の訪れを楽しみに待つのだった。


10月24日

爽やか

種 採

木の実



藤の実



占 地

松手入

朱 鷺

紫式部の実

色なき風

水木の実

御所柿

信濃柿

出 雲

松手入れ

芋の露

爽 涼

 
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