ギリシャ神話

春秋花壇

文字の大きさ
上 下
591 / 764
創作

鬼子母神(オニコモシン)

しおりを挟む
鬼子母神(オニコモシン)

ある日、古代のギリシャの神々の中で、特に人々に恐れられている存在がいた。彼女の名は「鬼子母神(オニコモシン)」。彼女は、母親の顔を持ちながらも、子どもをさらい、命を奪うという恐ろしい神だった。彼女の物語は、愛と母性の悲劇を語るものであり、同時に彼女自身の内なる葛藤を描いている。

鬼子母神は、かつて美しい女性であり、愛に満ちた母親だった。彼女の名前はアリアで、彼女には小さな息子がいた。彼女はその子供を心から愛し、いつも彼の笑顔を見ていることが幸せだった。しかし、ある日、アリアの幸せは破られる。村に住む男たちが、子どもをさらっては、儀式の生け贄にするという恐ろしい習慣を持っていたのだ。アリアは、自分の愛する息子がさらわれるのではないかと常に怯えていた。

彼女の恐れは現実となった。ある晩、息子がいなくなってしまったのだ。アリアは必死に探し回ったが、見つけることはできなかった。心の奥で、彼女は自分の無力さを痛感し、絶望の中に沈んでいった。その絶望が、彼女を鬼子母神という存在へと変えていく。

アリアは、深い悲しみと怒りを抱えたまま、禁じられた魔法を学ぶことを決意した。彼女は、冥界の神々と接触し、自らの子どもを奪った者たちに復讐を果たす力を手に入れた。そして、鬼子母神としての運命を受け入れることにした。彼女は、子どもをさらう者たちを許さない決意を固め、夜の闇に紛れ込む。

ある夜、鬼子母神は村に忍び込んだ。彼女の姿は、ただの影のようで、人々は彼女の存在に気づかない。彼女はまず、子どもたちの遊ぶ声が聞こえる家に向かう。彼女の心には、かつての愛する息子の姿が浮かんでいた。彼女は、子どもたちを抱きしめ、愛しみながらも、その命を奪うことに快感を覚えるようになっていた。

村の人々は、子どもたちの行方がわからなくなると、恐れに怯え、互いに疑心暗鬼になった。鬼子母神は、その恐怖を享受することで、自らの悲しみを埋めようとしていた。しかし、彼女の心の奥には、依然として愛する息子の記憶が残っていた。

日々が過ぎるにつれ、鬼子母神は村での行為に疲れを感じ始めた。彼女は、子どもたちを奪うことで一時的な満足感を得ていたが、そのたびに息子を失った悲しみが再燃し、彼女の心を蝕んでいった。彼女は、いつしか自分が何を求めているのかを見失い、ただ無意味な復讐を繰り返している自分に気づく。

そんなある晩、鬼子母神は一人の少女と出会う。少女は、彼女がさらおうとした子どもたちの中で、最も無邪気で純粋な笑顔を持っていた。鬼子母神はその笑顔に、かつての息子の姿を重ねてしまう。彼女は一瞬、心が揺らぎ、手を引こうとしたが、少女の目が彼女を捕らえた。少女は怯えることなく、鬼子母神を見上げ、こう言った。

「お母さん、どうして泣いているの?」

その言葉が鬼子母神の心を貫いた。彼女は、愛する息子を失った痛みと、同時に彼女が子どもたちから奪った無邪気な笑顔が、彼女の心をさらに苦しめていた。彼女は自分の行いを悔い、再び人間としてのアリアに戻ることを決意する。

「私は、もうこれ以上、子どもたちを奪いたくない」と鬼子母神は呟いた。その言葉は、彼女の心の中で響き、彼女の内なる鬼が徐々に消えていくのを感じた。彼女はその場から逃げ出し、自らの罪を悔いることにした。

村に戻った鬼子母神は、自分のしたことを償うために、子どもたちを守る存在になろうと決めた。彼女は再び魔法を使うが、今度は子どもたちを守る力として。彼女は、子どもたちの安全を脅かす者たちを許さず、愛と母性の力で村を見守る存在となった。

彼女の伝説は、村の人々に語り継がれることになった。鬼子母神は、恐れられる存在から、愛を持って守る存在へと変わったのだ。彼女の物語は、失った愛と再生、母性の力を象徴するものとして、今でも語り継がれている。

こうして鬼子母神は、愛の象徴として人々の心に生き続けることとなった。彼女の物語は、愛の力がどんなに強いかを教えてくれる。悲しみから立ち上がることで、真の母性を知った彼女は、永遠に子どもたちの味方であり続けるのだった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

性転換マッサージ2

廣瀬純一
ファンタジー
性転換マッサージに通う夫婦の話

6年生になっても

ryo
大衆娯楽
おもらしが治らない女の子が集団生活に苦戦するお話です。

車の中で会社の後輩を喘がせている

ヘロディア
恋愛
会社の後輩と”そういう”関係にある主人公。 彼らはどこでも交わっていく…

生意気な女の子久しぶりのお仕置き

恩知らずなわんこ
現代文学
久しくお仕置きを受けていなかった女の子彩花はすっかり調子に乗っていた。そんな彩花はある事から久しぶりに厳しいお仕置きを受けてしまう。

勝負に勝ったので委員長におっぱいを見せてもらった

矢木羽研
青春
優等生の委員長と「勝ったほうが言うことを聞く」という賭けをしたので、「おっぱい見せて」と頼んでみたら……青春寸止めストーリー。

【R-18】クリしつけ

蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。

処理中です...