ギリシャ神話

創作

アエテルナエの試練

アエテルナエの試練

遥か古の時代、ギリシャの神々が地上と天界の間を自由に行き来していたころ、「アエテルナエ」という神秘的な存在がオリュンポス山の奥深くに住んでいた。アエテルナエは「永遠の守護者」として知られ、神々から特別な使命を託されていた。

アエテルナエは美しい女性の姿をしており、その瞳には星々の光が宿っていた。彼女は時間そのものを司る力を持ち、過去、現在、未来を見通すことができた。この力によって、神々はアエテルナエに世界の均衡を守る役割を与えた。彼女が定めた時間の流れが、神々や人間たちの運命を形作っていたのである。

ある日、ゼウスがアエテルナエを呼び出し、ある重要な任務を言い渡した。ゼウスはアエテルナエに言った。「人間たちは今、時の流れに逆らおうとしている。彼らは自らの命を永遠に保つことを望み、禁断の魔術に手を出している。お前は彼らの行いを正し、時間の秩序を守らねばならない。」

アエテルナエはゼウスの命に従い、人間たちの世界へと向かった。彼女はまず、エペイロス地方の隠された山間にある村を訪れた。そこでは賢者と呼ばれる者たちが、命を永遠に保つ秘術を研究していた。彼らは神々をも恐れぬ大胆さで、時の流れを変える力を手に入れようとしていたのだ。

アエテルナエは賢者たちに近づき、優しく問いかけた。「なぜ、あなたたちは永遠の命を望むのですか？ 人生は限られた時間の中で美しいのではないですか？」

しかし賢者たちは答えた。「我々は限りある命に縛られたくない。永遠に生き、知識を極め、神々と肩を並べる存在となりたいのだ。」

アエテルナエは彼らの野望に哀れみを感じたが、神々の意志に背くことはできなかった。彼女は賢者たちに警告を与えた。「もしも時の秩序を乱すなら、その代償は大きい。永遠を手に入れたとしても、それが祝福であるとは限りません。」

しかし賢者たちはその警告を無視し、禁断の儀式を開始した。彼らはアエテルナエの目の前で時の流れを逆転させ、若返り、永遠の命を手に入れようとしたのだ。

その瞬間、世界が揺れ、空は暗くなり、時間そのものが狂い始めた。アエテルナエは目を閉じ、深い悲しみと共に賢者たちの運命を見据えた。彼らは永遠の命を手に入れたが、その代償として、永遠に終わることのない苦しみを味わうこととなった。彼らは時間の外側に追いやられ、孤独と絶望の中で生き続ける運命に閉じ込められたのである。

アエテルナエは再びオリュンポスへと戻り、ゼウスに報告した。ゼウスは彼女の働きを称賛したが、アエテルナエの心には深い悲しみが残っていた。彼女は神々にこう告げた。「永遠の命は祝福ではなく、時に呪いとなることもあるのです。人間たちは限りある命の中で、愛と喜びを見つけるべきなのです。」

その後、アエテルナエは自らの役目を続けるため、時の流れを見守り続けた。彼女は神々の間でも稀有な存在となり、時間を司る者として永遠に語り継がれることとなった。彼女の名は人々の間で「永遠の守護者」として敬われ、限りある命の尊さを伝える象徴となった。

アエテルナエは静かに微笑み、再びその瞳に星々の光を宿して、時の流れを見守り続けるのだった。

終わり。