恋愛 名言

いつもありがとうな

いつもありがとうな

僕が彼女に出会ったのは、大学のキャンパスだった。初めて目が合った瞬間、何か不思議な感覚が胸に広がった。彼女は笑顔で、僕の方に向かって歩いてきた。その時、僕は何も考えずに彼女を見つめていた。

「こんにちは。」

その一言で、僕は我に返った。彼女は軽く手を振りながら、僕に話しかけてきた。

「こんにちは。」僕はつい、おどおどしながら答えてしまった。

彼女はすぐに気づいたようで、にっこりと笑った。「大丈夫だよ。驚かせちゃったかな？」

「いや、そんなことないよ。」僕は顔が熱くなったのを感じながら、少し恥ずかしそうに笑った。

彼女は、その後も何度も僕と話してくれるようになった。その笑顔と優しい言葉に、僕は次第に心を奪われていった。彼女の名前は、真琴（まこと）。その名前の響きも、彼女にぴったりだと思った。

最初は友達として話していたが、いつの間にか僕は彼女を意識するようになっていた。彼女の声、彼女の笑顔、そして何よりも、彼女の周りにある温かな空気に、僕は引き寄せられるように感じていた。

ある日、僕が図書館で勉強していると、突然彼女が顔を覗かせた。

「ねぇ、今度の週末、暇？」

僕は思わず顔を上げて、彼女を見つめる。「え？　うん、特に予定はないけど…」

「よかった。」彼女は嬉しそうに笑って、椅子を引いて隣に座った。「実は、私、君にちょっとお願いがあって。」

「お願い？」僕は驚きながらも、彼女を見つめた。

「うん、来週の金曜日、私がバイトしてるカフェでアルバイトの面接があるんだけど、どうしても一人で行くのが怖くて…。もしよかったら、付き合ってくれない？」

その一言に、僕は心の中で少しだけ動揺した。しかし、すぐにその気持ちを抑えて、笑顔で答えた。

「もちろん。君が困ってるなら、全然構わないよ。」

彼女は照れくさそうに微笑んだ。「ありがとう。本当に助かる。」

その日から、僕たちは少しずつ距離が縮まった。彼女のお願いをきっかけに、週末や平日にも一緒に過ごす時間が増え、僕たちは自然に付き合うことになった。

そして、付き合い始めて半年が過ぎた頃、僕は彼女に言いたいことがあった。

ある日、二人で夜の公園を散歩しているとき、僕は思い切ってその言葉を口にした。

「真琴、いつもありがとうな。」

突然の言葉に、彼女は驚いた顔をして僕を見つめた。目を大きく見開いて、少し戸惑っているようだった。

「どうしたの？」彼女は優しく聞いた。

「いや、ただ、君と一緒にいると、いつも支えられてるなって感じるから。」僕は照れくさくなって、少し頭をかいた。「いろいろなこと、君がしてくれて、すごく感謝してるんだ。」

彼女は静かに歩みを止め、僕の方をじっと見つめた。月明かりに照らされたその瞳は、いつもと変わらず温かく、優しさに満ちていた。

「私が？　そんなことないよ。」彼女は少し困ったように笑うと、僕の手を握った。「むしろ、君にありがとうって言いたいことがたくさんあるよ。」

「僕に？」僕は驚いた。

「うん、君がいつも私のことを考えてくれて、支えてくれるから。君がいてくれるから、私は安心して毎日を過ごせてる。」彼女は少しだけ顔を赤くして、目をそらした。

その言葉が、僕の胸に深く響いた。僕は自分の気持ちを伝えるのが苦手で、どこか遠回りをしてきたけれど、彼女の一言で全てが整理されたように感じた。

「真琴…」

「ありがとう。」彼女は静かに言った。そして、僕の手をぎゅっと握りしめる。

そのとき、僕は初めて気づいた。彼女が僕にとって、どれほど大切な存在か。僕の心が真琴に向かっていることを、改めて実感した。

「これからも、ずっと一緒にいてくれる？」

僕の問いに、真琴はすぐに答えた。「うん、もちろんだよ。」

その言葉に、僕は胸の中で満ち足りた気持ちが広がるのを感じた。

「ありがとう、真琴。」

その夜、二人で並んで歩きながら、心から幸せだと思った。互いに支え合っていること、そしてその気持ちが確かであることを、何よりも大切にしていきたいと思った。

終わり