愛とは、２つの肉体に宿る１つの魂からなるものである。

「ねぇ、ねぇってば」子猫のようにじゃれる君のしぐさがかわいくて

「ねぇ、ねぇってば」子猫のようにじゃれる君のしぐさがかわいくて

「ねぇ、ねぇってば。」

その声が、僕の耳に届いた瞬間、心臓がちょっとだけ跳ね上がった。あまりにも無邪気で、甘えているような、ふわっとした声。それが彼女の声だと分かっているのに、どうしても心が落ち着かない。彼女の声は、どこか僕を掴んで離さない魔法のようだった。

振り向くと、そこにいたのは千春（ちはる）だった。彼女は僕の隣に立っていて、無邪気に目を輝かせていた。その笑顔を見るたびに、僕の胸はときめき、同時に何とも言えない気持ちでいっぱいになる。

「なに？」と、僕はゆっくりと答えた。

千春は肩をすくめ、無防備にその小さな手を僕の腕に伸ばしてきた。軽く触れられると、僕は思わず肩を震わせた。その柔らかな手のひらが、まるで子猫のように僕をなでるような感覚を覚えた。

「なんだか退屈だね、今日。」千春は少し首をかしげて、困ったような顔を見せた。僕はその顔を見るたびに、なぜか心が温かくなる気がする。

「退屈？それなら何かしようか？」と、僕は返す。

「うーん、遊ぼうよ！」と千春は無邪気に言った。子どものように、まるで全てが新しい世界であるかのように彼女は僕を見つめる。その目には、何もかもが楽しそうで、僕はそれに答えるのが嬉しかった。

「じゃあ、どうして欲しいんだ？」と、僕はわざと考え込んだふりをして聞く。

千春は目を輝かせて、嬉しそうに僕にしがみついてきた。そのまま僕の腕に顔を埋めると、ほんの少しだけ息が荒くなった。それがまた、僕の心をドキドキさせる。

「君と、もっと一緒にいたいな。」その言葉は、まるで本気のような、そしてふざけているような響きだった。

僕はその言葉を聞いて、少しだけ顔を赤くした。「一緒にいるって、今もこうして一緒じゃないか。」

「ううん、もっと！」と、千春は首を横に振った。「もっと、もっと君に触れたいって思うんだ。」

その一言で、僕の胸の中がきゅっと締めつけられる。彼女が僕を、そうやって欲しいと思っているのが嬉しくて、でもそれと同時に少し怖くもあった。

「そんなこと言って、君は子猫みたいに甘え上手だね。」僕は彼女の髪を優しく撫でながら、冗談めかして言った。

千春は、恥ずかしそうに顔を赤くして、少しだけ目を伏せた。まるで子猫がしっぽを丸めて恥ずかしがるように、彼女はその小さな顔を僕の胸に押し付けてきた。

「だって、君が好きなんだもん。」その言葉が、僕の心を大きく揺さぶる。

僕はしばらくその言葉を胸に抱えて、言葉を選んでいた。どうしても、彼女が今、僕に言ったその言葉が、僕の中で何度も繰り返し鳴り響いているような気がした。

「千春、君は…本当に僕のことを好きなんだね。」

「うん。」千春は恥ずかしそうに、でも嬉しそうに答えた。その顔がとても可愛くて、僕の気持ちがぐっと盛り上がった。

「じゃあ、僕も君のこと、好きだよ。」そう言って、僕は千春をぎゅっと抱きしめた。彼女の体温が伝わってきて、そのぬくもりが僕の心を落ち着ける。

「え？」千春は少し驚いたように顔を上げた。「本当に？」

「本当だよ。」僕はそのまま、彼女を離さずに言った。

千春は照れながらも、うれしそうに笑った。そこには、少しだけ涙ぐんだ目で僕を見つめる彼女の姿があった。

「なんか、私…どうしてこんなに君に甘えたくなっちゃうんだろう。」千春は軽く首をかしげた。

その表情が、また一層僕を胸キュンさせた。彼女は無邪気に、時に甘えてくるけれど、僕はその全てを受け止めたいと心から思っていた。

「千春、君がどうして甘えたくなるのか、分かるよ。君が僕にすごく大事な存在だって思ってるから、自然にそうなるんだ。」僕は、彼女の髪をまた優しく撫でながら言った。

千春は少し黙った後、照れたように笑顔を浮かべた。「ありがとう、君がいるから、私は安心できる。」

その言葉に、僕は再び心が温かくなるのを感じた。彼女が僕を必要としてくれている、僕もまた彼女が必要だと、心から思った。

「千春、君が欲しいって思うこと、全部叶えたいと思ってる。」僕は力強く言った。「君がどうしても欲しいなら、僕は何でもするよ。」

「本当に？」千春は目を見開いて驚き、そしてにっこりと笑った。

「もちろん。」僕は深く頷いた。その時、彼女は小さな手で僕の顔をそっと包み込むようにして、優しく唇を重ねた。

その瞬間、全てが静止したかのように感じた。彼女の温かなキスに、僕の心は一気に満たされていった。

「君がいてくれるから、僕は幸せだ。」そう言って、僕は千春を抱きしめ直した。

「私も、君と一緒にいたい。これからずっと。」

その言葉が、僕の胸に深く刻まれた。愛という言葉が、何よりも強く感じられる瞬間だった。

終わり