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春秋花壇

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言葉の森で

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「言葉の森で」

サクラは小さな机に向かって、一生懸命に言葉を紡いでいた。彼女の目の前には、絵本のようにカラフルなページが広がっていて、その中に登場するキャラクターたちが静かに、でも確かに命を吹き込まれていく瞬間だった。

「静かな森、静かな街、静かな心…。どうしても、この言葉ばかり出てきちゃうな。」サクラは自分で書いた文を見返し、少し悩んだ。確かに、「静かな」は心地よくて、安心するような言葉だ。でも、同じ言葉を何度も使ってしまうと、文章が平坦になってしまうことに気づいたのだ。

「もっとたくさんの言葉を覚えなきゃ。」サクラは心の中でつぶやき、窓の外を見上げた。外では雪がちらちらと降り始めていて、その景色が心を静かにさせていた。しかし、今のサクラは、静けさの中にこそ、次の一歩を見つけようと必死だった。

「静かな街」と書いた後に、「静寂な街」とか、「穏やかな街」とか、他の言葉を使えたらもっと素敵になるのに…。「森閑とした森」っていう表現もいいかもしれないな。サクラはその言葉を口に出してみた。「静寂」や「森閑」という言葉には、まるで時が止まったような静けさが感じられて、サクラは少しワクワクしてきた。

その時、部屋のドアが軽くノックされ、母が顔を覗かせた。「サクラ、何か困っているの?」

「うーん、言葉が上手に使えなくて。」サクラは少し恥ずかしそうに言った。

「どんな言葉が使いたいの?」母は優しく尋ねた。

「『静かな』を使いたくないんだ。もっと色んな言葉を使ってみたいんだけど、どうしても『静かな』って言葉が出てきちゃう。」サクラは手を止め、母に向かって言った。

母はにっこりと笑って言った。「それは素敵なことだよ。言葉には、たくさんの表現があるんだよ。でも、最初はひとつの言葉を大切に使うのも、すごく大事なことなんだよ。」

「でも、同じ言葉ばっかりじゃつまらないよ。」サクラは首をかしげた。

「うん、わかる。でもね、例えば『静かな』って言葉には、いろんな意味やニュアンスがあるんだよ。それを感じるためには、その言葉にもっと寄り添うことが大事なんだよ。」

母の言葉に、サクラはしばらく黙って考え込んだ。母が言うように、「静かな」言葉の背後には、確かに深い意味が込められているかもしれない。そして、それをどんな場面で使うかが大事なんだろう。

「じゃあ、もっといろんな言葉を覚えたらいいんだね!」サクラはうれしそうに目を輝かせて言った。

「そうだね。たくさん本を読んで、いろんな言葉を知っていけば、きっとサクラの中にも素敵な言葉が増えていくよ。」母は穏やかに言った。

サクラは、ふと窓の外を見上げた。雪がどんどんと降り積もり、外の世界は静かな白い世界に包まれていた。それはまるで言葉がまだ生まれたばかりのような、真新しい空間のように感じられた。

「静かな世界も、きっとたくさんの言葉で表現できるんだろうな。」サクラは自分で思いながら、再びペンを取った。

それから、サクラは一生懸命に新しい言葉を探しながら、物語を綴り始めた。「静かな森」「静寂な海」「穏やかな心」「森閑とした町」…。いろんな言葉を使いながら、彼女は自分の世界を広げていった。最初は難しかったけれど、少しずつ言葉の力を感じていった。

そして、サクラは思った。言葉をたくさん知ること、使うこと、それが自分を表現するための力になることを。

その日、サクラはとても楽しく、物語を綴ることができた。

静か
閑静(かんせい)
静寂(せいじゃく)
森閑とした
静黙
静粛
粛然たる
密やか
粛たる
粛然

仲間がいっぱい。楽しそう。





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