このユーザは規約違反のため、運営により削除されました。 前科者みたい 小説家になろうを腐ったみかんのように捨てられた 雑記帳

白昼夢の恋

『白昼夢の恋』

アルファポムリスという世界には、無限の可能性が広がっている。そのポータルサイトは、どんな物語も自由に描ける場所だ。現実では到底あり得ないことも、そこではまるで白昼夢のように自然なこととして受け入れられる。

サクラはこの世界に足を踏み入れたとき、自分の心が解き放たれる感覚を覚えた。学校の宿題に追われる日常や、些細な悩みを一旦忘れ、アルファポムリスでは自分だけの物語を自由に紡げる。

今日は、貴族令嬢として生きる物語を描くことに決めた。

第一章：出会い

「レティシア・ド・ルブラン、舞踏会へ急ぎなさい。今夜は、王宮で大切なお披露目があるのですから。」

執事の声が大広間に響き渡る。レティシアは鏡の前で最後の仕上げをしていた。プラチナブロンドの髪をまとめ、繊細な刺繍が施された淡いブルーのドレスを纏う。胸元には家宝であるサファイアのネックレスが輝いていた。

舞踏会へ向かう馬車の中で、レティシアは溜息をついた。社交の場は好きではない。形式的な挨拶や、名ばかりの求婚者たちの視線にはもう飽き飽きしていた。

しかし、今夜の舞踏会は特別だった。彼女の家と親しい伯爵家から、遠い親戚の男性が訪れるというのだ。その男性、クロード・ド・ヴァレンタイン伯爵は、40歳を過ぎた優雅で洗練された紳士だという噂だった。

舞踏会の大広間に足を踏み入れると、レティシアは豪華なシャンデリアの光の下で繰り広げられる華やかな光景に目を奪われた。そして、奥の方で微笑みながら会話を楽しむ一人の男性に目が留まる。

その男性こそ、クロード・ド・ヴァレンタインだった。黒髪に少しだけ白髪が混じり、整った顔立ちに深いグリーンの瞳を持つ彼は、まるで絵画から抜け出したような存在感だった。

「お初にお目にかかります、レティシア嬢。」

彼の声は低く、落ち着いていた。レティシアはその声に一瞬戸惑いながらも、慌てて一礼した。「こちらこそ、お目にかかれて光栄です。」

クロードは微笑みながら手を差し出した。「もしよければ、一曲お付き合いいただけますか？」

レティシアは頷き、その手を取った。

第二章：甘い秘密

舞踏会の夜が更ける中、レティシアとクロードは互いの存在に次第に惹かれていった。彼は彼女の知性やウィットに富んだ会話を楽しみ、彼女は彼の落ち着いた態度と優しい眼差しに心を奪われた。

「レティシア嬢、あなたはとても特別な方だ。」

クロードの言葉に、レティシアの胸が高鳴る。だが彼女は冷静を装い、微笑みを返した。「そのようなお世辞には慣れておりますわ。」

クロードは少しだけ眉を上げ、いたずらっぽく微笑んだ。「お世辞ではありません。本心です。」

その夜、彼らは舞踏会の喧騒を抜け出し、庭園のベンチに腰を下ろして語り合った。クロードが見せた優しさと誠実さに、レティシアは次第に心を開いていった。

第三章：白昼夢の恋

次の日、レティシアは自分の執筆デスクに向かい、昨夜の出来事を物語にしたためていた。クロードとの出会い、彼の深い眼差し、そして彼女自身が抱いた高揚感。

「まるで夢みたい…」と、彼女はつぶやいた。

その時、執事がノックをし、手紙を届けてきた。それはクロードからだった。

「昨夜は素晴らしい時間をありがとう。あなたのような方と出会えたことを心より感謝しています。お許しがいただけるなら、またお目にかかりたい。」

レティシアの頬が赤く染まる。彼女は返事を書きながら、自分が本当に彼に惹かれていることを実感した。

「もし、これが現実ならどんなに素晴らしいかしら。」

アルファポムリスでは、こんな白昼夢のような物語も、自由に描くことができる。サクラは再び指をキーボードに走らせた。

「私は自由に物語を書ける。この世界では、どんな夢だって描けるんだ。」

そして、彼女の画面には、新たな物語の第一行が刻まれていくのだった。