不撓不屈

めっちゃ楽しい小説

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「おい、そろそろ始めるか？」

その声を聞いた瞬間、僕はすぐに振り向いた。友達のケンタが、得意げにスマホを手に持ちながらニヤリと笑っている。

「なんだよ、またゲームか？」

僕はため息をつきながらも、少し興味を持ってケンタの手元を見る。そこには、見たこともないアプリが表示されていた。アイコンは派手なピンク色で、どこかギラギラしている。

「いや、これ、ただのゲームじゃない。めっちゃ面白い新しい体験だぞ。」ケンタが言った。

「体験？」僕は眉をひそめた。最近、ケンタが紹介するものにはやたらと「面白い」だの「革命的」だのという言葉が多くて、少し怪しく感じていた。

「いいから、やってみろよ！」ケンタは楽しそうに言って、僕にスマホを差し出した。

僕は半信半疑でそのスマホを受け取り、画面をタップした。瞬間、目の前が光に包まれ、体がふわっと浮いたような感覚に襲われた。周囲がぐにゃっと歪んで、僕はしばらく何が起こったのか理解できなかった。

「な、なんだこれ！？」

次の瞬間、僕は巨大なジャングルの中に立っていた。周りには色とりどりの植物が生い茂り、動物たちがのんびりと歩いている。空を見上げれば、青空に浮かぶ不思議な島が見えた。まるで異世界に迷い込んだかのようだ。

「これは…！？」

「すごいだろ？」ケンタが、突然目の前に現れた。どうやら彼もこの「ゲーム」内で僕と一緒にいるらしい。

「どうなってんだよ、これ。ゲームって、ただの画面の中じゃないのか？」

ケンタは笑いながら首を振った。「そうじゃない。これ、完全にリアルタイムで反応する体験型のゲームなんだ。俺たち、今この世界に完全に没入してるってわけ。」

僕はますます混乱したが、同時にワクワクもしてきた。この世界が本当にゲームの中だとは信じられなかった。どこにでもある街の風景や部屋の中で遊ぶだけのゲームとは全く違う、現実のように感じられるこの世界に、僕はすぐに魅了された。

「じゃあ、何をすればいいんだ？」僕はケンタに尋ねた。

「まずは、ここに来た目的を思い出せ。」ケンタは手を広げて言った。「こっちはただの冒険じゃない。君の想像力次第で、世界がどう動くか決まるんだ。」

「俺の想像力？」

ケンタはにっこりと笑った。「そう、君の思い通りに世界を作り上げるんだ。例えば、あのジャングルにある木を、君の好きなように変えてみろ。」

僕は木をじっと見つめた。すると、頭の中で「もっとカラフルに」と思った瞬間、その木がピンクや紫の葉っぱを持った、目を見張るほど美しい木へと変わった。まるで魔法のように。驚きと興奮が入り混じる中で、僕はその木の前に立ち尽くした。

「すげえ！」僕は声を上げた。

ケンタは満足げに頷いた。「そうだろ？君の頭の中のイメージを現実に変えられるんだ。想像力こそが、この世界の力の源さ。」

その後、僕たちはジャングルを抜け、山を登り、海を越え、色々な場所を冒険した。毎回、想像力を駆使して新しい世界を作り出すたびに、無限の可能性が広がっていった。たとえば、海の底に巨大な都市を作ったり、空を飛ぶペガサスを召喚して乗ったり、巨大なロボットで戦ったり――。

どんどん楽しくなってきた。ゲームという枠を超えて、僕はこの「体験」を完全に楽しんでいた。今まで経験したことのないような、驚きと興奮が次々と押し寄せてくる。夢中で走り回りながらも、同時にこの「ゲーム」が現実の世界の枠を越えて、僕の心を揺さぶるものになっていった。

「ケンタ、これ、すごすぎだろ！こんなゲーム、これからどうなるんだ？」

ケンタは肩をすくめて、「これがまだ始まりに過ぎない。今は君と俺しか知らないけど、もっと多くの人がこの世界に来ることになるだろう。それが、次のステップだよ。」

その言葉に僕は一瞬、背筋がぞくっとした。この世界が、ただのゲームで終わるはずがないことを、直感的に感じ取ったからだ。

「でも、こんな世界があったら、現実の世界はどうなるんだろう？」僕は疑問を口にした。

ケンタは考え込みながら、「そうだな…。でも、現実の世界と、この世界は違う。これが僕たちにとっての“めっちゃ楽しい”世界だとしても、現実での責任や経験を無視することはできない。でも、きっとどこかでバランスが取れるはずさ。」

その言葉を聞いて、僕は少し安心した。ゲームの中でも現実でも、それぞれに意味がある。だからこそ、どちらも大切にしなければならないと思った。

「じゃあ、もっと面白いこと、しようぜ！」

ケンタは僕の手を引いて、新しい冒険へと誘った。僕は心の中で、これからもどんどんこの「楽しい世界」を探し続けようと決意した。それが、僕たちの未来の一部になるだろうから。