妻と愛人と家族

春秋花壇

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二世帯住宅の恐怖

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「二世帯住宅の恐怖」

老後、子供と近くに住むことが人生最大の間違いだと、私は今、心の底から感じている。日々の生活に追われ、次第に疲れ果てていく自分を、どうしてこんなことになったのかと振り返ることが多くなった。息子とその家族が近くに住んでいることで、私はずっと「助けてあげることができる」と思っていた。あの頃の私は、ただの義務感から、そう信じていたのだ。

今はその考えがどれほど甘かったのか、痛いほどに分かる。

朝が来ると、すぐにキッチンに立って朝食の準備を始める。息子やその妻がまだ寝ている間に、私は家の中を動き回り、孫たちのために栄養満点な朝ごはんを作るのが日課になっていた。ベーコンと卵、焼きたてのパンにサラダ。孫たちが朝から元気よく駆け回る声を聞きながら、私は心の中で「これで少しでも役立っている」と感じていた。

だが、それは本当に「役立っている」のだろうか? 疑問に思う瞬間が増えてきた。いつも忙しくて、私が休む暇はほとんどない。朝食を終えると、今度は孫たちと遊ぶ時間が始まる。彼らは元気で、時には手に負えないほどだった。おもちゃを広げ、絵を描き、時にはケンカをして、あちこちで遊びながら私の体力を奪っていく。それでも、「おばあちゃん、遊ぼう!」という笑顔に私はついつい応じてしまう。

そして昼食の時間が近づいてくる。孫たちが遊び疲れて少し落ち着いた頃を見計らって、また台所に立つ。私は食事を作り終わると、再び掃除と洗濯が待っている。洗濯機を回して、掃除機をかけ、窓拭きも忘れない。それからスーパーに買い物に出かけ、重い袋を持ちながら帰宅する。足腰が痛み、心は次第に疲れ果てていくのを感じる。

「おばあちゃん、これして!」と言われる度に、私は無理に笑顔を作り、孫たちと遊ぶ。だけど、心の中では何かが壊れかけていた。私はもう、ただの家政婦か、はたまた奴隷のような存在になっていたのだ。どれだけ手伝い、尽くしても、その先にあるのは次々と積み重なる仕事だけで、感謝の言葉はあまり聞こえてこない。

夕方になると、また夕食の準備が待っている。食事を作り終えると、息子とその妻が帰宅し、夕食を囲んで話が始まる。しかし、その間にも私の仕事は終わらない。食後の片づけ、洗い物、そしてまた掃除。彼らがくつろぐ姿を見るたびに、私は「こんな生活をしていて、幸せだろうか?」と自問自答する。

私が手伝うことで、息子たちの生活が少し楽になればと思っていたが、実際にはそれがどんどんエスカレートしていった。息子たちは私を頼りにし、私がいないと何もできないかのように振る舞うようになった。だが、私はその期待に応えることができる限界を感じていた。年齢とともに体力は衰え、心の中で「もうこれ以上、何かをしてあげることができない」と感じる瞬間が増えていた。

私はこの生活がどうしてこんなにも苦しいのか、その理由を考えることがあった。私の生活は、すべて息子たちのペースで進んでいき、私の意見や希望はほとんど反映されない。「おばあちゃん、これをやって!」と要求されるたびに、私は自分の存在がただの家事労働者であるかのように感じるようになった。彼らが忙しいのは理解している。しかし、私もまた疲れているのだ。

ある日、息子の妻が「おばあちゃん、ちょっとお手伝いしてくれる?」と言った。その瞬間、私は無意識にその手伝いを断った。疲れ果て、もうこれ以上はできないと感じたからだ。すると、彼女は少し驚いた顔をして、すぐに「大丈夫、無理しないで」と言った。しかし、私はその言葉にまた不安を感じた。もし私が手を引いたら、息子たちの生活はどうなるのだろう? それが心配で仕方がなかった。

その夜、私は一人で静かに考えていた。この二世帯住宅の生活が、私にとってどれだけ辛いものになったのかを。私の人生は、誰かのために尽くすことで意味を感じるものだったが、その代償として、私は自分を犠牲にしてきた。今、私は本当に幸せなのだろうか? 本当にこのままでいいのだろうか?

そして、私はようやく気づいた。私が最も必要としているのは、他の誰でもない、自分自身の自由だった。息子たちに頼られ続けることが、必ずしも私を幸せにするわけではないと、心の底から理解した。これから先、私は自分の人生を取り戻すべきだ。息子たちのために尽くすことが全てだと思っていたが、私はもう、自分の幸せも考えなければならない。

そう決心したとき、初めて、少しだけ心が軽くなったような気がした。






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