妻と愛人と家族

春秋花壇

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東京、家族で訪れた秋の明治神宮外苑いちょう並木】

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【東京、家族で訪れた秋の明治神宮外苑いちょう並木】

11月のある晴れた日、私たちは家族で明治神宮外苑のいちょう並木に向かうことにした。東京に住んでいると、紅葉狩りに行くといっても遠出はなかなか難しい。けれども、この神宮外苑だけは毎年家族揃って訪れる場所になっていた。黄色に染まるあの風景を、今年も皆で見たいと思ったのだ。

電車を降り、少し歩いた先に広がるいちょう並木は、期待を裏切らず見事な黄金色に染まっていた。両側に整然と並ぶイチョウの木々が、空高くそびえて黄金のトンネルを作り、道路を黄色の絨毯で覆っている。「わぁ、すごい!」と子どもたちは歓声を上げ、手を繋いでいる私と夫の手を放して駆け出していった。

「きれいだねぇ」夫が静かに呟く。私も同じ気持ちだった。イチョウの木々の下に立つと、東京の喧騒が嘘のように静まり、ただ風の音と、落ち葉の舞うささやきが響いている。子どもたちは黄色の絨毯を足でさくさくと踏みしめては、葉っぱを拾い上げて、「ママ、見て!大きい!」と笑顔を見せてくれる。夫も、そんな子どもたちの様子を微笑ましく見守っていた。

並木道の奥に「聖徳記念絵画館」が見え、その建物の静かな佇まいが一層この風景に重厚感を加えている。私たちは、何度も足を止めては家族の写真を撮った。カメラの画面には、笑顔の私たちと、その背景に黄金色に染まったイチョウの風景が広がっていた。

ふと足元を見ると、子どもたちが拾い集めたイチョウの葉っぱが、手のひらにいっぱいに重なっていた。「どうするの、その葉っぱ?」と私が聞くと、長女が「お家でアルバムに貼りたい」と答え、次男も「僕も飾る!」と言った。こんな風に、子どもたちは目に映る景色をそのまま手の中に収め、いつまでも覚えておきたいのだろう。

その後、私たちは絵画館を見学し、神宮外苑をゆっくりと歩いた。途中、夫が「来年も来れるといいね」と呟いたのが、妙に心に残った。忙しい日々の中で、この家族の時間がいつまでも続くわけではないことに気付かされる。いちょう並木が美しいこの秋の日に、こうして家族で過ごせることが、私にとって何よりも大切なひとときだった。

帰り道、日が傾き始め、いちょう並木も夕陽の光を受けてさらに輝きを増していた。子どもたちは、拾った葉っぱを大事そうに抱えて家路に向かう。いちょう並木を後にする瞬間、振り返ってもう一度その景色を心に焼き付ける。明治神宮外苑のいちょう並木は、私たち家族の心の中に、かけがえのない記憶としていつまでも残るだろう。









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