妻と愛人と家族

竹林信太朗の後悔

竹林信太朗の後悔

竹林信太朗（仮名・44歳）は、日々後悔の念に苛まれている。彼は大型トラックの長距離運転手として安定した収入を得ており、学生時代から20年以上連れ添った元妻とは穏やかな生活を築いていた。元妻は節約家で、家事全般を完璧にこなす女性だった。彼女は、竹林が帰宅したときにいつも家が清潔で、料理が整えられているよう心がけていた。竹林は内心、そんな妻を「もったいないほどの存在」と感じていた。

しかし、ある日彼は同僚とキャバクラへ足を運び、そこで出会った22歳のキャバ嬢・A美（仮名）と意気投合してしまう。酔った勢いで「二人でどこか行こう」と誘いをかけ、A美もその気になったことで、一夜限りの過ちを犯してしまった。翌朝、ラブホテルで目を覚ました彼は妻の顔を見ることができず、A美のマンションでの生活に身を沈めてしまう。彼は周囲の忠告を無視してまで、A美との生活を選び、ついには離婚して再婚に踏み切った。

再婚後、A美はすぐに竹林の通帳と印鑑を管理し始め、散財を繰り返した。初めは彼のために毎日お弁当を作り、家事もしてくれたA美だったが、籍を入れるやいなや、献身的だった態度はすっかり豹変。ご当地グルメやグッズを買い漁るなど、竹林の給料や元妻が積み上げてきた貯金が湯水のように消えていく。さらに、彼の仕事に無断で同行し、サービスエリアでの買い物を止める気配もない。

そんな生活が続き、竹林はようやく元妻のありがたみを痛感したが、もう遅かった。A美に「離婚したい」と伝えても、「そんなことはできない」と取り合わず、キャバ嬢に戻る気もない様子だった。今さら弁護士を頼むことも考えているが、何から始めたらいいのかすらわからず、煩雑な手続きに手を付けることもできずにいる。

「自業自得ですが、地獄です」

彼は自らの選択の重さに打ちひしがれ、毎日のように後悔を口にするが、もはや過去には戻れない。彼が気づくべきだったのは、当たり前の日常に潜む妻の恩恵であり、周囲からの忠告やアドバイスを軽視した自身の過ちだった。