妻と愛人と家族

春秋花壇

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結婚したらダメな女

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結婚したらダメな女

「君には生活がないね」

「君のような人は、結婚したらダメなんだよ!」

投げ捨てるように夫は言って、二階に上がっていった。

シングルマザーだけど、父が身罷った後、母を引き取って暮らしていた私には、

あなたの言葉の意味が理解できなかった。

だって、中学校を卒業してすぐに置屋に住み込みになり、

舞妓になることが私の夢だったから……。

近所の奥さんを

「お姉さん」

と言って叱られる。

なら、おばさんと言ったらきっと怒るんだろうな。

当時23歳の私は、ずいぶんと周りからバッシングされ

小ばかにされていたのだろうが、人に優しくできないこの人たちは

かわいそうな人たちなのだとしか思えない。

今から考えるとほんとに変な女。

馬耳東風。

蛙の面にしょんべん。

人に全く興味がないから、相手が怒ろうが気分を害そうがそんなもの知ったことじゃない。

やっぱり、女性のリハビリ施設で言われたとおり、

「人間の皮をかぶった何か」

だったのかもしれない。

「ごめんね、2回も離婚して」

そう、同じ人と二回も離婚してしまった。

今の私に言えること、

「君のような人は、結婚したらダメなんだよ!」

子供は、親の背中を見て育つ。

母は、昼間を百姓、夜は料理屋を営んでいた。

だから、彼女が妻として何をしてたのか、

子供たちにどう接していたのか私は知らない。

「愛着障害」

と、診断され、源家族にないものは社会から学んでいくしかない。

だけど、私の周りには妻として、模倣したい人はいない。

ドラマや小説から探すしかないんだろうな。

やっぱり、こんな人をお嫁さんにもらうと夫は大変なんだろうな。

「愛してる」

だけじゃ、お腹はいっぱいにならないんだよね。
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