妻と愛人と家族

「禁断の誓い」

暗闇に包まれた世界が広がる。黄泉の国は常に暗闇に包まれており、光がなく薄暗い雰囲気が漂っている。足を一歩踏み入れると、まるで闇に飲み込まれるような感覚に襲われる。周囲には何も見えず、ただ暗黒の中に身を置くだけの不気味さが漂っていく。

荒れ果てた景色：黄泉の国の風景は荒廃し、荒涼とした印象を与える。思わず、身震いしてしまう。枯れた木々や枯草が風に揺れ、地面は荒れ果てた大地となっていた。遠くには死者の魂がさまよう姿が見え、その姿は不気味で恐ろしいものだった。

冷たい風が吹き抜ける：黄泉の国には常に冷たい風が吹き抜けており、その冷たさは生者の魂を凍えさせるほどだった。風が吹くたびに、周囲には凍てつくような寒さが立ち込め、不安と恐怖に包まれる。

静寂と異音：黄泉の国は静寂に包まれているが、時折異音が聞こえてくる。不気味な鳥の鳴き声や、遠くから聞こえる呻き声が、心をざわつかせる。静かな中にも、死者たちの存在が感じられる。

不気味な光：時折、黄泉の国には不気味な光が灯る。その光は不定期に点滅し、周囲に幻想的な影を落とす。光が灯るたびに、背筋が寒くなっていく。

五感は違和感でいっぱいになる。


 「禁断の誓い」

昔々、遥かなる昔、日本列島の深淵に、伊耶那岐神と伊耶那美神という神々の物語が紡がれた。

伊耶那岐神と伊耶那美神は、神々の中でも特別な存在であり、彼らの愛は神話の中でも特別なものとされてきた。

しかし、その愛は厳しい試練によって試されることとなった。

伊耶那美神は黄泉（よみ）の国へと旅立ち、そこで雷の神を産んだ。その一方で、彼女は愛する夫、伊耶那岐神を待ち望んでいた。

伊耶那岐神は妻を思い、黄泉の国へと向かった。しかし、彼が黄泉の国で見たものは、彼の想像をはるかに超えるものだった。

「私を見てはいけません」という妻の言葉を破ってしまったことで、彼は恐るべき真実を知ることとなった。伊耶那美神の本体が雷であり、彼女の姿は蛇のようなものであった。

愛する妻を救いたい。

姿かたちはどうあれ、愛する人なのだから。

そして、子供まで生まれているのだから。

「えええい、大和魂!!」

恐怖と不安を打ち消すように声高に叫んだ。

彼は恐れおののきながらも、妻を連れ戻そうとした。しかし、その行為が災いを招くことを知らずに。

黄泉比良坂（よもつひらさか）を駆け下りる彼は、追手を振り切るために岩を置いた。しかし、それが彼と妻の運命を大きく変えることになる。

伊耶那美神は、迎えに来てくれたのはとても嬉しいのだが、この姿を愛する人に見られたくなかった。

そして、見られてしまったという悲しみは燃えるような怒りへと変わっていく。

妻の怒りは、彼が建てた産屋の数をも超えるほどに激しく、それが二人の愛の果てに生まれるものとなった。

伊耶那岐神は、産屋を次から次へと建てていく。

すがるような思いでかすかな希望の光だった。

彼の言葉や表情からは、新たなる生命の誕生に向けた喜びや期待が伝わってくる。

「あかつき」→「しののめ」→「あけぼの」→「あさぼらけ」

大和言葉で織りなしていく日本の朝。

この物語は、愛と死の物語であり、生と死の境界を越えた禁断の誓いの果てに、新たなる生命が生まれることを示唆している。

そして、この物語は、他の神話と繋がりながら、人々に生と死、愛と悲しみ、そして禁断の果ての真実を問いかけるのだった。

終わり。