妻と愛人と家族

春秋花壇

文字の大きさ

大中小

241 / 1,143

父親が女の家から帰ってこない

しおりを挟む

父親が女の家から帰ってこない

タケオは毎晩のように酒を飲みに出かける父親に不満を抱いていた。彼の父親は夜遅くまで帰ってこないことが多く、そのたびに母親は不安そうに眠れないでいた。タケオは父親が家族を顧みず、自分勝手な行動を続けることに腹を立てていた。

ある晩、父親がまた帰ってこない。タケオは母親と一緒に待ち続けたが、夜が更けても彼の姿は現れなかった。母親は心配そうにタケオに言った。「タケオ、もしかして父さん、どこかで事故にでも遭ったのかしら。」

タケオは心配そうにうなずきながらも、父親に対する怒りがこみ上げてきた。彼は決心した。父親がどこにいるのか、探しに行くことに決めたのだ。

タケオは友人たちと一緒に、父親がよく行く酒場や知り合いの家を訪ね歩いた。しかし、どこにも父親の姿はなかった。彼は絶望的になりかけたが、最後の手段として父親の女性関係を探ることにした。

彼らは父親の知り合いの女性たちを訪ね歩き、父親が最後に会った女性を見つけ出した。その女性は驚いた表情を浮かべながらも、親切に父親の行方を教えてくれた。彼女によると、父親は彼女の家には来ていないという。

絶望的な気持ちで家に帰ろうとしたタケオだったが、その途中でふと思い立った。もしかしたら、父親は家族に内緒で別の場所に行っているのかもしれない。彼は覚悟を決め、父親が最後に行った場所を訪ねることにした。

その場所は、町の外れにある古びたアパートだった。タケオは胸騒ぎを感じながらも、アパートの前に立った。彼は一瞬ためらったが、勇気を振り絞ってドアをノックした。

すると、驚きと同時に父親の声が聞こえた。「誰だ？」

タケオは息を呑みながら、「父さん、僕です。」

ドアが開くと、父親が現れた。彼は驚いた表情を浮かべながらも、嬉しそうに息子を迎え入れた。「タケオ、どうしてここに？」

タケオは言葉に詰まりながらも、父親に向かって問いかけた。「父さん、なぜいつも家に帰ってこないんですか？母さん、心配して眠れないんですよ。」

父親は困ったような表情を浮かべながらも、タケオの手を取りながら中に招き入れた。「タケオ、ごめん。話を聞いてくれ。」

彼らはアパートの中で長い時間を過ごした。父親は自分の気持ちや苦悩を素直に語り、タケオも自分の気持ちを父親に伝えた。お互いに理解し合い、涙を流しながら、二人の絆はより深まっていった。

その日から、父親は家族との時間を大切にし、夜遊びを控えるようになった。タケオも父親をサポートし、家族全員で幸せな時間を過ごすことができるようになった。

家族の絆は、彼らがお互いを理解し、支え合うことでより強固なものになった。彼らは困難を乗り越え、新たな一歩を踏み出す準備ができていた。

父親とタケオは、その夜過ごしたアパートで、長い時間をかけて心を通わせました。父親は、自分がどれほど家族を心配させていたか、そして自分が抱える悩みや孤独を打ち明けました。タケオも、父親の言葉に対して素直に受け止め、自分の心の内を率直に伝えました。お互いが誠実に向き合い、理解し合うことで、二人の絆はより深まっていきました。

父親は、タケオに対して謝罪し、そして家族との時間を大切にすることを約束しました。彼は、夜遅くまで外で遊ぶことを控え、家族との絆を取り戻すために努力することを決意しました。タケオも、父親をサポートし、家族全員で幸せな時間を過ごすことを願っていました。

その夜、父親とタケオは、深い理解と信頼に基づく新たな絆を築きました。彼らは、お互いを支え合い、共に困難を乗り越える覚悟を新たにしました。そして、家族としての絆を取り戻し、幸せな日々を過ごすための第一歩を踏み出す準備が整いました。

翌朝、父親とタケオは家に帰りました。母親は驚きと喜びの表情で二人を迎え入れ、家族全員で和やかな朝食を共にしました。家族の笑顔が、以前よりも一層明るく輝いて見えました。

父親とタケオは、その日から家族との時間を大切にし、お互いを支え合いながら幸せな日々を過ごすことを誓いました。彼らの絆は、これからもより強固なものとなり、家族の絆がより深まっていくことでしょう。

そして、彼らは新たな一歩を踏み出し、明るい未来への道を歩み始めました。

めでたしめでたしってわけにはいかないんだよなー。

父親がいた家の女のお腹には、赤ちゃんがいた。

タケオたち家族は父親が戻ってきてくれたことで幸せを取り戻した。

取り残された女は、一人子供を産み、認知だけしてもらってシングルマザーとして子供を育てた。

二度とタケオの父親に会うことはなかった。

一度、彼女の友達の薬局にタケオの父がお金を包んで渡したのだが、

彼女はそのお金を受け取ることはなかった。

あれから47年。

その時お腹にいた子供も46歳。

時折、彼女は46才の息子がタケオの父にそっくりなしぐさをすることに苦笑している。

哀しいことだが、蒔いた種は刈り取るのです。

彼女もその息子も幸せだったねという人生ではないことをここにつけたしたい。

少子化対策にはなってるんだけどね。

なんだかな～。

バッドエンドは終わらない。

しおりを挟む