妻と愛人と家族

ホテルのレストランで見た、大人の恋

ホテルのレストランで見た、大人の恋

ホテルのレストランでアラフィフのダンディと若い女性の妙に親密なカップルを生暖かく見ていたのですが、遅れて娘さんにそっくりな奥様が登場してワイの汚れた心を反省した。


五月晴れ、爽やかな風が吹き抜ける街並み。高級ホテルのレストランでは、優雅なディナータイムが繰り広げられていた。

その一角で、私はアラフィフのダンディな男性と若い女性が妙に親密な様子で食事をしているカップルを、生暖かく観察していた。

男性はスーツ姿で、髪は白髪交じりながらも整えられており、洗練された雰囲気を漂わせていた。一方、女性は華やかなワンピースを身にまとい、長い髪をウェーブさせて、若々しさと美貌を振りまいていた。

二人は終始笑顔を絶やさず、楽しそうに会話を交わしていた。女性は男性の言葉に笑い声を漏らし、男性は女性の言葉に優しく耳を傾けていた。

私は、思わず二人の様子に引き込まれてしまった。まるで、映画のワンシーンのような、大人の恋愛を見ているような気分だった。

しかし、そんな二人の様子を眺めているうちに、ふと疑問がよぎった。

「この二人は、本当に夫婦なのだろうか？」

男性と女性の年齢差は明らかに大きかった。もしかしたら、不倫関係なのかもしれない。

そう考えると、二人の親密な様子が、なんだか不気味に見えてきた。

「…こんなことを考えているなんて、私ったらなんて汚れた心なのだろう…」

私は、自分自身の生暖かい視線に、少し反省した。

そんな時、レストランのドアが開き、一人の女性が入ってきた。

その女性は、驚いたことに、先ほどまで食事をしていた若い女性に瓜二つだった。

しかし、年齢は明らかに違っていた。若い女性よりも20歳近く年上に見えた。

そして、その女性は、先ほどまで食事をしていた男性に駆け寄り、

「やっと会えたわ！ 待ってたわよ！」

と、抱きついた。

男性は、女性を優しく抱きしめ、

「ごめんね、待たせてしまったね。」

と、笑顔で返した。

私は、ようやく状況を理解した。

先ほどまで食事をしていた二人は、夫婦だったのだ。

そして、若い女性は、二人の娘だったのだ。

娘と父親が食事をしているのを見て、私が勘違いしてしまっただけだった。

私は、自分の思い込みに恥ずかしくなり、同時にほっと胸を撫で下ろした。

人のことばかり詮索してはいけませんね。

ホテルのレストランを後にして、私は街を歩きながら、反省した。

あとがき
人のことばかり詮索してはいけませんね。

誰にも言えない秘密を抱えている人は、意外と多いものです。

私たちは、人の事情を勝手に想像したり、決めつけたりするのではなく、常に謙虚な気持ちで接することが大切です。

そうすることで、より良い人間関係を築くことができるでしょう。