お金持ちごっこ

新しい家で迎えた至福のひととき

「新しい家で迎えた至福のひととき」

大翔（ひろと）と美香（みか）は、清瀬市での物件探しに疲れていた。理想の家を求めるあまり、日々の暮らしの中で不安と期待が交錯していたが、ついに見つけた物件が青梅市にあるとは思ってもみなかった。前日の内見で、青梅市の物件に案内されると、そこには大翔たちが求めていた条件が揃っていた。

「これが青梅市ですか？」と、大翔は少し驚きながらも心躍る気持ちで新しい家を見渡した。価格は3500万円で、駐車場は三台分、土地面積は211.08㎡、建物面積は157.78㎡と広々していた。庭もあり、バーベキューを楽しむことができるスペースも確保されていた。

「これなら今住んでいる家が売れればローンなしで行けそうだね」と、美香は目を輝かせて言った。6畳の部屋が3つ、各部屋には収納スペースが1間、20畳のLDKに加え、19畳の洋室もあった。家族全員にとっての理想の空間が広がっていた。

「これから介護も考えなければならないし、時間とお金を少しでも楽にするためには、この家がベストかもしれない。」と、大翔の両親も賛同した。みんなで話し合い、介護が必要になる前にできるだけ快適な生活を実現するために、この家を選ぶことに決まった。

無事に契約が済み、引っ越しの日が来た。前の家もすぐに売れ、新しい生活のスタートに向けて準備が整った。新しい家には、広いリビングがあり、家族や親戚と一緒に楽しむためのスペースが広がっていた。

引っ越しが終わり、家の片付けが一段落すると、早速親戚から送られてきた梨を広いリビングでみんなで食べることにした。「梨が届いたから、さっそく食べよう！」と、美香が言うと、子供たちは嬉しそうに歓声を上げた。家族全員が集まり、広いリビングで梨の皮を剥く作業が始まった。

「これ、どうやって剥くんだっけ？」と、歩夢（あゆむ）と結衣（ゆい）が興味津々で聞いた。大翔は以前、肥後守の小刀を子供たちに買い与えたことを思い出し、それを取り出して見せた。「これを使うと、皮を綺麗に剥けるんだよ。」と、大翔は説明しながら小刀を手に取り、梨の皮を剥き始めた。

「右手は使う手、左は考える手」

大翔は、子供の時に父から教わったことを子供たちに教える。

「え？」と、子供たちは二人ともきょとんとしている。

「右手を動かすんじゃなくて、左手で梨を回すんだよ」

「おお」

妻の美香も歩夢と結衣も驚きの声を上げている。

祖父母から親へ。親から子へ。脈々と受け継がれていく生活の知恵。

「わあ、すごい！」と、子供たちは大歓声を上げ、真似して小刀を使って皮を剥こうとした。「気を付けてね。指を切らないようにしないと」と、美香が優しくアドバイスを送る。家族全員が協力して梨の皮を剥き、テーブルの上には色とりどりの梨の皮が積まれていった。

「さあ、みんなで食べよう！」と、大翔が言うと、家族は大きな皿に盛られた梨を囲んで食べ始めた。果汁たっぷりの梨が口の中で甘く広がり、一口ごとに幸せな気持ちが込み上げてくる。広いリビングの中で、笑い声や歓声が響き渡り、家族の楽しい時間が続いていった。

「この家にして本当に良かったね」と、美香が満面の笑顔で言った。大翔もその言葉に同感で、広いリビングに家族全員が揃っている光景を見ながら、自分たちが望んでいた理想の生活を実現できたことに深い満足感を覚えた。

「これからの生活が楽しみだね。」と、大翔は心の中でつぶやいた。広いリビングでの新しい生活が、家族の絆を深め、幸せな時間を提供してくれることを信じていた。どんな困難が待っていようとも、家族が一緒にいることで乗り越えられると、大翔は確信していた。

梨の果汁が喉を潤し、家族の笑顔が輝く広いリビングで、大翔たちは至福のひとときを楽しんでいた。

「この家にしてほんとによかった……」と、大翔は幸せに浸りながらつぶやいた。新しい家での生活はまだ始まったばかりだが、この瞬間、全てが理想通りに整い、家族の絆が一層深まっていることを感じていた。