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ハイティーンのための新ダンジョン

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「ここにいない世代別格差はハイティーン」

「なにかするんですか」

「新しいダンジョンを地下に作ろうかと思って」

「それは何をするところですか」

「だから、ハイティーンのためのダンジョン」

「わたし、入れない」

「わたしも入れない」

「そしたら、毒子さん楽しめないじゃないですか」

「みんなが、どんな風にクリアーしていくのか楽しいじゃない」

「経営者としての楽しみですね」

「うん」

「遊び心満載で」

「それは楽しみですね」

「このダンジョンは、一回ではクリアーできない」

「長男間ですね。超難関、どういう変換」

二人は大笑いしている。

「やっぱり、パソコンは馬鹿だ」

エリア1
必要なスキル 料理3 技術3 倫理3 ガーデニング3 老人へのボランティア3

壊れた水周りは自分で修理する。

老人へのボランティアは一緒に遊ぶ、話をする、なんでもいいので30分間。

必要スキルは入り口待合室の図書コーナーで習得できる。

入場資格 16歳以上の引きこもり暦1年以上

食事は自分で作る。

材料はガーデニングスキルで収穫した作物。

肉、魚、バーガーパテ、ソーセージ、チーズ、卵は冷蔵庫に入っている。

チェスで倫理3スキル相当のベンタブラックプラムボットに勝利する。

50メートルの川を泳ぐ。歩いてもよい。

就寝具は寝袋のみ。風呂、シャワー、トイレ、手洗い完備。

敵 自分のコピー
とてもネガティブでどうせクリアーできないから、リタイアして帰ろうとしつこく誘ってくる。

このエリアをクリアーすることで、多少でもリア充になってもらいたいという願いだった。

試しに一人来てもらったが、

まず、難色を示したのが、老人へのボランティアである。

引きこもりだったため、過敏に人との接触に緊張するらしく、

なかなか触れ合おうとはしなかった。

恐る恐るこなしたのだが、神経性下痢になってしまったようだ。

治療も終わり、スキル習得へと向かった。

自分がさほど興味がなくても学ぶということが訓練できていないため、

本を手に取るまでに思った以上に時間がかかった。

あらためて、学校のありがたみを感じる。

加えて、自分のコピーが

なんのためにこんなばかげたことをしているのだとリタイアをそそのかす。

毒子はラインで

「負けないこと、投げ出さないこと、逃げ出さないこと、信じぬくこと」

と送信した。

ベンタブラックプラムボットに

「最大の敵は自分なのかな」

と、話しかけている。

すべてのスキルを習得する前におなかがすいたらしい。

毒子は、ガーデニングの本をスキル1になるまで

読むことを進めた。

少年は、我慢して本を読んでいる。

1時間弱でスキル1になった。

毒子は、ラインで

「収穫してください」

少年はりんごから収穫し始め、

よっぽどおなかがすいたのか、りんごをそのまま食べている。

食べ終わると、残りの収穫を始めた。

りんご、ライム、トマト、レタス、ぶどう、たまねぎ、じゃがいも、

すいか、ピーマン、にんにく、炎の果実、生命の果実である。

汗だくになったらしくお風呂に入っている。

エリア1のお風呂は蛇口をひねればお湯が出る。

ゆっくりお湯につかると体を洗って、りんごをまた一つ食べている。

毒子がラインで

「お料理ができるようになると、おいしいものが食べられるよ」

と、通知した。

少年は、料理のスキルの本を読み始めた。

スキル0
ホットドッグ、ワッフル、マカロニチーズ、秋のサラダ
作れるのだが、料理スキルがないと火事を起こす危険性があがる。

スキル1
ラタトゥーユ、パンケーキ、ピーナッツバターとジャムのサンドイッチ

スキル2
グーピー・カルボナーラ、グリルドチーズ

スキル3
フィッシュ・アンド・チップス、クッキー(レシピを別に買い読まないと作れない)
お金は収穫物を売ったりすれば手に入る。

料理は実際に作ることによってもスキルがあがる。
ガーデニングも収穫や雑草を取る、水をやる、手入れをするでスキルがあがる。
技術も修理をしたり、トイレの汚れを取ったりすることによってもスキルはあがる。
倫理もチェスをしたり、望遠鏡で星の観察をしたりすることでスキルはあがる。

少年は、料理スキル2まで本を読むと、

ホットドッグを電子レンジオーブンで作り始めた。

初めて、料理をしたらしく、少し誇らしげだった。

ゆっくり食べると歯を磨いて、寝袋に入った。

疲れたのか、すぐに眠っている。

5時間くらいして、目覚めた。シャワーを浴びて、
秋のサラダを作っている。

食べ終えると歯を磨き、洗顔をして、服を着替えている。

来たときよりは楽しそうな笑顔になっている。

「どう、元気」

毒子がラインすると、

「はい」

という返事が帰ってきた。

料理を2度しているのでスキル3になるのはすぐだった。

少年は、技術の本を読み始めた。

「苦手なんだよな」

と、つぶやいている。

どうやら、毒子と同じように技術よりはガーデニングが好きらしい。

少年がとてもがんばっているので、

毒子は少年のためにスキル増進ドリンクを作って飲ませた。

飲むと様々なスキルを学んで覚える能力が上がるドリンクで、しかもとてもおいしい。

技術スキル1を習得。

少年は一旦外に出た。

昨日知り合った老人のところに行き、話を聴いている。

ラインで毒子に、

「パンケーキを作って、おじいちゃんと一緒に食べてもいいか」

と、聴いてきたので、

「どうぞどうぞ、いいね」

と、返事をした。

少年は喜んで下に降りていき、パンケーキを作った。

料理スキルは3以上あるので、むらなくきれいに火事を起すこともなく焼くことができた。

おじいちゃんと一緒に楽しそうに話をしながら食べている。

とても、昨日まで引きこもりで、部屋の前まで食事を運ばせていたとは思えない。

明るく楽しそうな笑顔だった。

食べ終わると、おじいちゃんに手を振って、

食器を片付け、下に降りて、技術の勉強をしはじめた。

こんな風に自分の世話ができ、生活に適合することで、

クリアーできたときには、まるで別人のようになっていた。

「おめでとう。自分は変われる」

と、毒子がラインをすると。

「ありがとう、がんばりました」

と、明るく返事が帰ってきた。

なんでもやってみなはれ、やらなわからしまへんで。
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