上 下
70 / 113

後日談

しおりを挟む
窓の外を見れば満開の桜と私が、私たちが5年間を過ごした学院がある。



窓を開ければ、春風と共に桜の花びらが部屋に入ってくる。



ここの全てが、私にこう伝える。





全て、終わってしまったのだと。





ここにもうあの方はいない。

神は、この世にはいなかったのだ。



不意に、部屋の扉が開かれた。

「あっ!ここに居たんだね!!」



「…」

どうして、なのだろう。



私が振り返らないのにも気にした様子はなく、彼女は口を開いた。



「あのねっ!さっき、彼から婚約して欲しいって言われたの!

それでね、セレスちゃんには先に伝えておきたくて!」



「…どうして?」

窓枠に置いた手が白くなる程、力を込めた。

そうしないと、私は耐え切れそうになかった。



「え?やだなあ!だって私たち、親友でしょ!」

足元が崩れたような気分だった。



「…親友?」



嗚呼、嗚呼。そうだった。

カミサマから御告げがあったのだった。



「貴方は本当に、何も知らないのですね。」

馬鹿みたいだ。



カミサマなんていなければ、わたしは、わたしたちは、しあわせだったのに。



「…え?」



もう、もう…いいでしょう?

私はあの方の元へいきたいのです。



「ですから、貴方は本当に何も知らない、と申しました。

貴方はこの国のことを何もわかっていない。

この世界ハナシは、貴方の為だけに創られた、ただの箱庭アソビだったというのに。」



「ま、待って!セレスちゃん、何を言ってるの…?」



「ほら、貴方は何も知らないでしょう?

カミサマが私たちに呪いオツゲをした事も。

貴方のせいで悪女に仕立て上げられたあの方の事も、私の事も、全部。」



カミサマがいたから、わたしたちはあの方をこんな子に殺されたのに。

どうして、どうして…この子はこんなに嬉しそうなの?







箱庭アソビは終わりを告げ、カミサマの呪いオツゲは効力を失くした。

この世界ハナシの民ヤクシャは憤る。



あの方の親友であり、彼女ヒロインの親友となったあの子は自ら役目を背負う。



あの方を守れなかった、自分たちの咎を背負って立つ。



さあ、後日談ネタばらしを始めましょう。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

校長室のソファの染みを知っていますか?

フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。 しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。 座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る

小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話

矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」 「あら、いいのかしら」 夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……? 微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。 ※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。 ※小説家になろうでも同内容で投稿しています。 ※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。

おむつオナニーやりかた

rtokpr
エッセイ・ノンフィクション
おむつオナニーのやりかたです

同僚くすぐりマッサージ

セナ
大衆娯楽
これは自分の実体験です

[R18] 激しめエロつめあわせ♡

ねねこ
恋愛
短編のエロを色々と。 激しくて濃厚なの多め♡ 苦手な人はお気をつけくださいませ♡

♡蜜壺に指を滑り込ませて蜜をクチュクチュ♡

x頭金x
大衆娯楽
♡ちょっとHなショートショート♡年末まで毎日5本投稿中!!

お嬢様、お仕置の時間です。

moa
恋愛
私は御門 凛(みかど りん)、御門財閥の長女として産まれた。 両親は跡継ぎの息子が欲しかったようで女として産まれた私のことをよく思っていなかった。 私の世話は執事とメイド達がしてくれていた。 私が2歳になったとき、弟の御門 新(みかど あらた)が産まれた。 両親は念願の息子が産まれたことで私を執事とメイド達に渡し、新を連れて家を出ていってしまった。 新しい屋敷を建ててそこで暮らしているそうだが、必要な費用を送ってくれている以外は何も教えてくれてくれなかった。 私が小さい頃から執事としてずっと一緒にいる氷川 海(ひかわ かい)が身の回りの世話や勉強など色々してくれていた。 海は普段は優しくなんでもこなしてしまう完璧な執事。 しかし厳しいときは厳しくて怒らせるとすごく怖い。 海は執事としてずっと一緒にいると思っていたのにある日、私の中で何か特別な感情がある事に気付く。 しかし、愛を知らずに育ってきた私が愛と知るのは、まだ先の話。

「学校でトイレは1日2回まで」という校則がある女子校の話

赤髪命
大衆娯楽
とある地方の私立女子校、御清水学園には、ある変わった校則があった。 「校内のトイレを使うには、毎朝各個人に2枚ずつ配られるコインを使用しなければならない」 そんな校則の中で生活する少女たちの、おしがまと助け合いの物語

処理中です...