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テンプレかもしれない婚約破棄

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 「私は・・・エレノーラ・モートアルトとの婚約を破棄し、シェリス男爵家令嬢・・・サラと婚約することをここで宣言する!」



*******



 ここは学校の食堂。人が多い此処を選んだのは・・・わざとだろうか。



 唇を噛む。



 悲しむ自分と、怒る自分と、それでいて冷静でいる自分と・・・。いろんな”ジブン”がいて、よく判らない感情が、溢れてきて、頭がおかしくなりそうだ。



 「私は・・・」



 じんじんと、頭に鈍い痛みが走る。



 婚約者、いや”元”婚約者のあの人は、私が彼女をいじめた。という証拠を挙げているらしい。



 私は何もしなかった・・・はずだ。・・・何も。彼の気を引こうとすることも、家に泣き付く事も、彼女をいじめることも。彼が彼女に恋情を抱いていることも、知っていたのに。



 「何か申し開きはあるか」

 「何もないのなら・・・サラに謝れ。そうすれば、訴えることはしないでやろう」



 「・・・っ」



 正気を疑った。此処で私が頭を下げると言う事は、つまりモートアルト家がシェリス家に頭を下げるということだ。いつからあの人はあんなにもおつむが弱くなったのだろうか。仮にも、代々宰相の座を継いでいる家の嫡男だった筈なのだが。



 「ねぇ」



 誰かが、唐突に声を発した。



 「キミが彼女との婚約を破棄するのなら、ボクが彼女を貰っても、なんら問題はないよね?」



 はい?



 思わず振り返った先にいたのは、隣国の第三王子、アラン殿下だった。



 彼は私の元まで歩み寄り、跪き、まるで姫に忠誠を誓う騎士のように私の手に口付けを落とした。



 「エレノーラ、ボクと結婚してくれないか?」



 驚きで、言葉が出なかった。



 彼はクスリと微笑んで、とったままの手を引いた。



 「取り敢えず此処から出ようか。ゆっくりと話がしたいし」



*********



 辿り着いたのは、目立たない、校舎裏のベンチだった。



 「あの、」



 ん?と言って、彼は首を傾げた。



 「どうして、助けてくれたのですか?」



 殿下の顔が赤く染まった。



 「・・・・・・っ!!」

 「・・・そりゃ君のことが、す、好き・・・だから。ってうわあ恥ずかしい・・・」



 顔を赤くして恥ずかしがる姿にすこし・・・すこしだけきゅんとしてしまったのは・・・ここだけの秘密。







                                         END
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