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お骨の行方はお好きですか

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お骨の行方はお好きですか



「寺がお骨で埋もれてしまいます」



「早急に何とかします。申し訳ございません」



これは、ちょっと考えたら、当然起こる事柄だった。



この地にきて、4ヶ月が過ぎた。



120日である。2520のお骨をどうするか、



お寺さんから、早急に対処して欲しいとのことだ。



引取りに来ないのだ。ここにいる、孤独死予定の人たちは、



東京に住民票のある人たちだ。



仕方なく、都と掛け合うことにした。



多摩川霊園の無縁仏になら、安置可能ということだ。



引き取りも可能ということなので、そちらに搬送することにした。



しかし、なんと希薄な家族関係なんだろう。



働き尽くめに働き、子供を育てた人たちもいる。



80/50や70/40にならなかっただけ、



ましなのだろうか。



8050問題(ハチマルゴーマルもんだい[1]、はちじゅうごじゅうもんだい[2])とは、2010年代以降の日本に発生している長期化した引きこもりに関する社会問題である。



2019年3月時点で、中高年の引きこもり人口は61万3千人も存在し、その内の70%以上は男性との調査結果も発表されている。



全国的に孤立死,無理心中,親の死体遺棄,年金の不正受給,生活保護の受給が増加することから、現状の8050問題に対する極めて迅速な対応が求められている。



大変な問題のやま済みである。



悪役令嬢 毒子は、引きこもりの人たちを



不思議に思った。



毒子は、家出ばかりしていたからだ。



当然、学歴も資格もない毒子は、東京で食べていけなかった。



仕方なく、芸者の置屋に住み込みをした。



でも、今の子は、住み込みに行っても、すぐに帰ってきてしまう。



天皇の料理人のように、散々転々としたけど、何かやりたいことを見つけて、



住み込みでも何でもいいから、がんばるということはないみたいだ。



地位や名声やお金にも興味のない彼らは、自分の存在価値を、



引きこもりをして、社会と断絶した中で探しつづるのだろうか。



通常は、原家族の育て方の間違いは、



社会に出て学び、少しずつ変わっていく。



家の中にいて、ネットをやりまくったとしても、



変わりようがないではないか。



彼らは、食べていくことに飢えてはいないので、



小説家を目指したとしても、書いたり書かなかったり、



人の小説も、感想を書いて自分の小説に評価をつけてもらう。



という地道な苦労をしようとはしない。



確かにすばらしい文章なのに、もったいない話である。



30歳や40歳にもなって、バイトもせず、



朝からゲームのし放題とか、こういう人たちが、



どういう老後をむかえるのか、みてみたいというか、



それは言い過ぎなのだろうが・・・。



彼らは一同にたぶん、好きでそうなったんじゃないというだろう。



いじめにあって、外に出れなくなったり、



ADHDだったり、統合失調症だったり。



人の苦しみははたからはわからないものである。



そういえば、どこかの誰かさん、泣いていったけな。



「こんな風に社会の役にも立たないのに、



生きていなきゃいけない。何のために生まれてきたんだー」



毒子も同じようなことをいっていた。



経験してても、のどもと過ぎればになってしまう自分を、



哀れみのない、同情心のないやつだと思った。



ああ、



お骨の行方とはかけ離れた話になってしまった。



「ごめんなさい」





お骨の話に戻るが、ここで死ぬ人のお骨は、1年間で、7665である。



いずれは、多摩川霊園にも置けないとか言われるのかもしれないが、



先取りの不安はさて置いて、今は、引き取り手のないお骨はすべて、



多摩川霊園にもって行けばいいわけだ。



悪役令嬢 毒子は、面白くないこういった日常の細かいことが、



解決していくたびに、小さな喜びを抱くようになった。



問題が起こることが問題ではなく、



問題にどう対処するかが問題なのだ。



お酒や薬やアディクションに逃げないで、



丁寧に対処している自分の頭をそっとなでた。



「がんばってるよ」



「よくやってるよ」



「大変だね」



誰もほめてくれないから、自分で褒めるしかないよね。



浅見帆帆子さんは、



「トラブルはレベルアップのチャンスと考える」



と、いっている。



「よし、悪役令嬢 毒子のレベルは上がった」



ありがとうございます。



最近、おばあちゃんたちは、集まって、



昔ながらの手遊びをしている。



「森の中から、あんまさんがピッピッピッ、



そのまた後から、おひげのおじさん えっへんぷい、



そのまたあとから、子供が4.5人 じゃんけんぽん」



おばあちゃんたちは、時折、遠くを見ている。



まるで子供の頃の自分を思い出すように。
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