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アガペではなく利他でもなく利己のボランティアはお好きですか
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アガペではなく利他でもなく利己のボランティアはお好きですか
「仕事がねー」
悪役令嬢 毒子の気まぐれのせいで、
職を失った人たちがいた。
特殊清掃員である。
彼らは、孤独死した人たちのごみ屋敷を掃除し、死体の跡などを、
きれいに片付ける人たちであった。
その中の何人かは、こちらに移動してもらい、給料を払って、
孤独死予定の人たちのトイレやふろ場、食べたものなどを掃除する職に就いた。
でも、老人たちは、好むと好まざるとにかかわらず、
人と関わり、少しずつ笑えるようになっていたので、
少しずつ、セルフネグレクト状態ではなくなっていた、
ゆえに有り余るほど、職員を雇うわけにはいかなかった。
だからと言って、ホストピスケア、自宅ケアの手が足りてるわけではなかった。
老人たちは、この地に慣れてくると、少しずつ暇を持て余し始めた。
デイケアのように、プログラムを必要とするようになった。
1000人である。悪役令嬢 毒子が途方に暮れていると、
タクシーで何人かが駆けつけてきた。
ギターを持った人、色紙らしきお土産を持ってきてくれた人、
小さなお花の鉢を持ってきてくれた人、10名くらいであろうか。
聞けば、彼らはボランティアであった。
しかも、一同にして、
「利己のボランティアです」
と、いうのであった。
悪役令嬢 毒子は出迎えに行った。
「アガペ、利他の間違いではなくて?」
と、質問すると、きっぱりと、
「いいえ、自分の楽しみのために利己のボランティアです」
と、はっきり答えた。
「へー」
「ボランティアと言えば、自分の貴重な時間を割いて、
人の福祉のために働く徳が詰める行いだ。
それを利己とは・・・。」
悪役令嬢 毒子は孤独死予定の人の補充は毒子が管理するとして、
どこまで生活するうえで、施設や備品をお願いすればいいのか考えていた。
こうして、アガペにしろ、利他にしろ、利己にしろ、ボランティアも増えて行って、
前にもまして、孤独死予定の老人たちには、
楽しんでもらいたいと思った。
孤独死予定の人たちのためのダンジョン経営
簡単に言うと、こういうことかな。
悪役令嬢 毒子はなんかファンタジーの中にいるみたいで、
とっても楽しかった。
魔獣や龍王のような魔物は出てこないが、
少しでもリア充になるための戦いは、
予想さえできない問題を伴って、襲ってくるに違いない。
命の灯も、最長で60日間と限られた人たちである。
的確で迅速な対応が要求されてるであろう。
「わくわくするではないか」
「ファンタジーのように、絵空事ではないだけに、
腕の見せどころじゃ」
まったく、毒子の口のきき方は、維新の発祥地山口県には、
そぐわない気さえする。
江戸の時代には、面白い制度がたくさんあった。
お犬様であったり、参勤交代であったり、大奥であったり、
今だったら、世評で袋叩きにされそうなことばかり。
この地区で、中学1年の時に村始まって以来の悪と、
ラベルを張られた毒子である。
これ以上の悪評はない。
何も恐れることなく、毒子のよいと思うことをすればよかった。
お金のことを気にしなくて済むのもうれしかった。
通常は、突飛な素敵な案はあっても、お金や人が足りなかったりして、
実行に移すのは難しい事態になることが多いものだ。
一人でも多くの人に、
「ああ、いい人生だった。ありがとう」
と、死んでもらいたいだけが毒子の望であった。
利己のボランティア
この言葉がすこぶる気に入った悪役令嬢 毒子であった。
この利己のボランティアの人たちが参加してくれたおかげで、
毒子の経営する
「孤独死予定の人たちのダンジョン経営」は、
鮮やかに彩りを増していった。
ギターを弾いてもらって、昔あった
「歌声喫茶」のように合掌しながら、お茶を楽しんだり、
色紙をみんなで織ったり、
ガーデニングを楽しんだり、近所にある堤と呼ばれる場所に、
釣りに出かけたり、大将山まで遠足したり、
支援物資に入っていた干し柿をほうばったり、
大量に送られてきた豆腐を湯豆腐にして、
ほふほふ言いながら食べたり、
段ボールをつぶして、メンコを作り、
絵をかいたり、作ったメンコで遊んだり、
竹を切り出してきて、竹馬を作ったり・・・。
ソリやスキーを火であぶりながら竹を曲げて作ったり、
それはそれは楽しそうな光景をマスコミは連日放映するようになった。
すると、利己のボランティアは、もう来なくていいというくらい、
増えていったのである。
その年の流行語大賞に抜擢されるくらい、
「利己のボランティア」は、人気を博した。
「自分がボランティアとして、何ができるか楽しむためにきました」
彼らは口々に、ボランティアを愉しむ
と、言うのだった。
孤独死予定の老人たちは、前にもまして、
人と接して、心からの笑顔が似合う人たちに変わっていく。
何時いつも笑い声が絶えなかった。
痴呆症で怒りっぽくなる人もいるけれど、
周りは親切にめいめいできることを行っていった。
上手に対処できなくても、叱る人もいなければ、嘲笑する人も、非難する人いない。
指示する人も、サディッションを与える人もいない。
それぞれの器の中で、それぞれの自由意思で、喜びのうちに行われていった。
寝るところも来てるものも、高価なものではない。
そんな生活の中でも、彼らは生き生きしていた。
食べ物に感謝し、集いあってる人たちを尊重し、
自分のことも大好きで、笑顔と慈愛に満たされたそんな場所に変わっていく。
それは不思議な光景だった。
まさに、この世の楽園であった。
雪が降り、雪の結晶が降りてくる。
人々は、口々に
「きれいー」
と、称賛の声を上げている。
スターダストがキラキラときらめいて、
光が七色に変わっていく。揺らぎ織りなし、オーロラを作る。
重厚なカーテンのようにおおぞらで自由を満喫しているように・・・。
「仕事がねー」
悪役令嬢 毒子の気まぐれのせいで、
職を失った人たちがいた。
特殊清掃員である。
彼らは、孤独死した人たちのごみ屋敷を掃除し、死体の跡などを、
きれいに片付ける人たちであった。
その中の何人かは、こちらに移動してもらい、給料を払って、
孤独死予定の人たちのトイレやふろ場、食べたものなどを掃除する職に就いた。
でも、老人たちは、好むと好まざるとにかかわらず、
人と関わり、少しずつ笑えるようになっていたので、
少しずつ、セルフネグレクト状態ではなくなっていた、
ゆえに有り余るほど、職員を雇うわけにはいかなかった。
だからと言って、ホストピスケア、自宅ケアの手が足りてるわけではなかった。
老人たちは、この地に慣れてくると、少しずつ暇を持て余し始めた。
デイケアのように、プログラムを必要とするようになった。
1000人である。悪役令嬢 毒子が途方に暮れていると、
タクシーで何人かが駆けつけてきた。
ギターを持った人、色紙らしきお土産を持ってきてくれた人、
小さなお花の鉢を持ってきてくれた人、10名くらいであろうか。
聞けば、彼らはボランティアであった。
しかも、一同にして、
「利己のボランティアです」
と、いうのであった。
悪役令嬢 毒子は出迎えに行った。
「アガペ、利他の間違いではなくて?」
と、質問すると、きっぱりと、
「いいえ、自分の楽しみのために利己のボランティアです」
と、はっきり答えた。
「へー」
「ボランティアと言えば、自分の貴重な時間を割いて、
人の福祉のために働く徳が詰める行いだ。
それを利己とは・・・。」
悪役令嬢 毒子は孤独死予定の人の補充は毒子が管理するとして、
どこまで生活するうえで、施設や備品をお願いすればいいのか考えていた。
こうして、アガペにしろ、利他にしろ、利己にしろ、ボランティアも増えて行って、
前にもまして、孤独死予定の老人たちには、
楽しんでもらいたいと思った。
孤独死予定の人たちのためのダンジョン経営
簡単に言うと、こういうことかな。
悪役令嬢 毒子はなんかファンタジーの中にいるみたいで、
とっても楽しかった。
魔獣や龍王のような魔物は出てこないが、
少しでもリア充になるための戦いは、
予想さえできない問題を伴って、襲ってくるに違いない。
命の灯も、最長で60日間と限られた人たちである。
的確で迅速な対応が要求されてるであろう。
「わくわくするではないか」
「ファンタジーのように、絵空事ではないだけに、
腕の見せどころじゃ」
まったく、毒子の口のきき方は、維新の発祥地山口県には、
そぐわない気さえする。
江戸の時代には、面白い制度がたくさんあった。
お犬様であったり、参勤交代であったり、大奥であったり、
今だったら、世評で袋叩きにされそうなことばかり。
この地区で、中学1年の時に村始まって以来の悪と、
ラベルを張られた毒子である。
これ以上の悪評はない。
何も恐れることなく、毒子のよいと思うことをすればよかった。
お金のことを気にしなくて済むのもうれしかった。
通常は、突飛な素敵な案はあっても、お金や人が足りなかったりして、
実行に移すのは難しい事態になることが多いものだ。
一人でも多くの人に、
「ああ、いい人生だった。ありがとう」
と、死んでもらいたいだけが毒子の望であった。
利己のボランティア
この言葉がすこぶる気に入った悪役令嬢 毒子であった。
この利己のボランティアの人たちが参加してくれたおかげで、
毒子の経営する
「孤独死予定の人たちのダンジョン経営」は、
鮮やかに彩りを増していった。
ギターを弾いてもらって、昔あった
「歌声喫茶」のように合掌しながら、お茶を楽しんだり、
色紙をみんなで織ったり、
ガーデニングを楽しんだり、近所にある堤と呼ばれる場所に、
釣りに出かけたり、大将山まで遠足したり、
支援物資に入っていた干し柿をほうばったり、
大量に送られてきた豆腐を湯豆腐にして、
ほふほふ言いながら食べたり、
段ボールをつぶして、メンコを作り、
絵をかいたり、作ったメンコで遊んだり、
竹を切り出してきて、竹馬を作ったり・・・。
ソリやスキーを火であぶりながら竹を曲げて作ったり、
それはそれは楽しそうな光景をマスコミは連日放映するようになった。
すると、利己のボランティアは、もう来なくていいというくらい、
増えていったのである。
その年の流行語大賞に抜擢されるくらい、
「利己のボランティア」は、人気を博した。
「自分がボランティアとして、何ができるか楽しむためにきました」
彼らは口々に、ボランティアを愉しむ
と、言うのだった。
孤独死予定の老人たちは、前にもまして、
人と接して、心からの笑顔が似合う人たちに変わっていく。
何時いつも笑い声が絶えなかった。
痴呆症で怒りっぽくなる人もいるけれど、
周りは親切にめいめいできることを行っていった。
上手に対処できなくても、叱る人もいなければ、嘲笑する人も、非難する人いない。
指示する人も、サディッションを与える人もいない。
それぞれの器の中で、それぞれの自由意思で、喜びのうちに行われていった。
寝るところも来てるものも、高価なものではない。
そんな生活の中でも、彼らは生き生きしていた。
食べ物に感謝し、集いあってる人たちを尊重し、
自分のことも大好きで、笑顔と慈愛に満たされたそんな場所に変わっていく。
それは不思議な光景だった。
まさに、この世の楽園であった。
雪が降り、雪の結晶が降りてくる。
人々は、口々に
「きれいー」
と、称賛の声を上げている。
スターダストがキラキラときらめいて、
光が七色に変わっていく。揺らぎ織りなし、オーロラを作る。
重厚なカーテンのようにおおぞらで自由を満喫しているように・・・。
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