縁(えにし)

春秋花壇

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10歳 お人形のお洋服を縫ったの

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「お人形のお洋服を縫ったの」

10歳のユウカは、縫い物が大好きだった。お母さんが使っているミシンの音を聞くたびに、自分もそんな風に針と糸を操ってみたいとずっと思っていた。小さな頃からお母さんの隣で見よう見まねでボタンを付けたり、小さな布を縫い合わせたりして遊んでいたユウカにとって、縫い物はとても特別な時間だった。

そんなある日、ユウカはふと自分のお人形に目をやった。お人形は昔からのお気に入りで、ユウカが赤ちゃんの時からずっと一緒にいる。しかし、そのお人形の洋服はもうボロボロになってしまっていた。何度も洗濯され、色も褪せて、所々に小さな穴が開いていた。

「お母さん、お人形のお洋服を新しく作ってあげたいんだけど、自分でできるかな?」ユウカはお母さんに尋ねた。

お母さんは優しく微笑んで、「もちろん、できるわよ。ユウカはもう立派なお姉さんだもの。お手伝いしてあげるから、一緒にやってみようか?」と言った。

ユウカはうれしそうに頷いた。さっそく、お母さんと一緒に布を選びに行くことにした。家の中にはお母さんが使っている布の切れ端がたくさんあった。ユウカはその中から、お人形に似合うような柔らかいピンク色の布を見つけた。そして、お母さんが提案した白いレースも選んだ。

「この布でドレスを作ろうかな」と、ユウカはワクワクしながら言った。

「いいわね。まずは型紙を作ってみましょうか」と、お母さんが言いながら、紙を広げて、ユウカと一緒にお人形のサイズを測り始めた。お母さんの手際の良さに感心しながら、ユウカはお人形の体にぴったり合うドレスの型紙を作るのを手伝った。

型紙ができあがると、次は布を切る作業だ。ユウカは慎重にハサミを使って、ピンク色の布を型紙に沿って切り取った。その後、お母さんと一緒にミシンの前に座り、縫い合わせる作業を始めた。

「針に指を刺さないように気をつけてね」と、お母さんがアドバイスしてくれたので、ユウカは少し緊張しながらも、慎重にミシンを動かした。最初はぎこちなかったが、お母さんの手を借りながら、少しずつ自分で縫えるようになっていった。

「できた!」と、ユウカはついにお人形のドレスを完成させた。ピンク色のドレスには、白いレースがふんわりと飾られており、ユウカのお人形にぴったりだった。

「すごくかわいいわ、ユウカ。上手にできたじゃない!」お母さんが褒めてくれた。

ユウカはお人形に新しいドレスを着せてみた。お人形はまるで新しく生まれ変わったように見えた。柔らかなピンク色がとても似合っていて、ユウカはその姿に満足した。

「ありがとう、お母さん。私、自分でお人形のお洋服を作ることができるなんて、本当にうれしい!」ユウカは笑顔でお母さんに言った。

「ユウカが頑張ったからよ。これからもいろいろなものを作ってみるといいわ」と、お母さんは優しく言った。

その夜、ユウカは新しいドレスを着たお人形を大事に抱きしめてベッドに入った。お人形は今まで以上に特別な存在になった。自分の手で作り上げたお洋服が、ユウカの心に深く残る記念品となったのだ。

ユウカはこれからも、自分の手でいろいろなものを作っていくことを誓った。縫い物の楽しさを知り、少しずつ技術を磨いていくことが、彼女の新しい夢となった。そして、お母さんとの時間を大切にしながら、自分の手で創り上げることの喜びを忘れないようにしようと決めた。

次の日、ユウカは学校で友達に自分で作ったドレスのことを話した。友達はみんな驚き、そして「私も作りたい!」と言い出した。ユウカは友達と一緒に、次の週末に集まって、お人形のお洋服を作ることに決めた。

こうして、ユウカの手作りのドレスは、新たな思い出を紡ぎ出すきっかけとなり、彼女の心にいつまでも残り続ける大切な宝物となった。







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