お金がない

「高齢者狙う巧妙な不動産詐欺：認知機能低下に付け込む悪質な手口」

「高齢者狙う巧妙な不動産詐欺：認知機能低下に付け込む悪質な手口」

このニュースでは、高齢者を狙った不動産詐欺事件の詳細な手口が明らかになっています。詐欺業者は、80歳以上の高齢者約9万人の名簿を使用し、電話で相手の判断能力や資産状況を探りながら、詐欺に巻き込むためのターゲットを絞り込んでいました。特に、認知症だけでなく、「軽度認知障害（MCI）」とされる判断能力や記憶力が衰え始めた高齢者も標的となっていました。

詐欺の手口
業者は「昔お世話になった」などと虚偽の話を持ち出して信頼を得る一方、対象者の決断力や資産状況、情にほだされやすいかどうかを確認し、会話を通じてターゲットを選定していました。また、個票と呼ばれる記録に一人一人の情報を詳細に記載し、それに基づいて次のアプローチを行っていたことが判明しています。最終的には複数回の訪問で契約を迫り、高齢者が根負けして契約に応じるよう仕向けていました。

高齢者の心理と被害潜在化
被害者の中には認知症診断を受けていない高齢者も多く、契約内容を十分に理解しないまま高額な支払いをしてしまったケースが目立ちます。さらに、詐欺に遭った高齢者の多くが「恥ずかしくて相談できなかった」「子どもに心配をかけたくない」といった心理から、周囲に相談せずに被害が潜在化するケースが多いことが指摘されています。

専門家の見解
京都府立医科大学の専門家は、高齢者が自身の認知機能の低下を隠したがる心理や、周囲に心配をかけたくないために詐欺被害を打ち明けない傾向があることを指摘しています。また、弁護士は「日常生活に支障はなくても、判断力が低下し始めた高齢者が狙われるケースが多い」として、被害は氷山の一角であると述べています。

今回の事件から、家族や周囲の人々が高齢者の判断能力の変化に気を配り、相談しやすい環境を整えることが、こうした詐欺被害の防止に重要だと考えられます。また、法的な取り組みも必要であり、軽度の認知障害者の保護を強化することが求められます。