お金がない

春秋花壇

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SNSを悪用した罠

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SNSを悪用した罠

新潟県村上市に住むAさん(20代女性)は、今年8月下旬、自身のSNSに新しいフォロワーがついたことに気づいた。Bと名乗るその男性は、外国人のプロフィール写真を使っており、柔らかな笑顔が特徴的だった。好奇心からAさんはBのアカウントを調べ、彼が投稿する異国の風景や仕事の成功に関する投稿に興味を持った。

「フォローありがとうございます!お互いに頑張りましょう!」Bからのメッセージは、まずは軽い挨拶から始まった。何気なく返事をしたAさんだったが、その後もBは彼女の投稿に対して頻繁にコメントを残し、優しい言葉をかけてくる。気がつけば、彼との交流が日常になっていった。

「あなたの投稿はとてもポジティブで、励まされます。実は、仕事で困っていたときに、あなたの言葉が私を救ってくれたんです」とBは言った。Aさんは少し驚いたが、自分の存在が誰かの役に立てるなら、それは嬉しいことだと思った。

やがて、Bは別のSNSへ誘導してきた。もっとプライベートな空間で、1対1で話がしたいという。彼の言う「信頼できる場所」でのやり取りに、Aさんは安心感を抱いた。彼との会話はますます親密になり、Aさんは仕事や趣味、将来の夢など、何でもBに相談するようになった。

「あなたの励ましのおかげで、ついに大きなプロジェクトを成功させることができたよ。本当に感謝している。何かお礼をしたいんだけど、プレゼントを贈ってもいいかな?」とBは提案してきた。Aさんは最初こそ躊躇したが、彼の誠実そうな言葉と、これまでのやり取りで築いた信頼感から、思わず「ありがとう、でも本当にそんなに気を使わなくても」と返事をした。

すると数日後、Bから再び連絡があった。「プレゼントはもう送ったよ。だけど、税関で少し手続きが必要らしいんだ。ほんの少しの手数料を支払ってくれれば、すぐに届くと思う。代わりに支払ってもらってもいいかな?」その瞬間、Aさんは少し違和感を覚えた。だが、Bは続けて「あなたが支払ってくれたら、後で必ず全額返すから。これは本当に感謝の気持ちだから」と強調してきた。

信じたい気持ちと、不安の間で揺れ動くAさんは、結局、彼の頼みを聞くことにした。彼の話しぶりは一貫して優しく、誠実だったからだ。手数料の支払いは、彼の言葉通りすぐに終わり、Aさんはホッとした。

しかし、プレゼントはなかなか届かなかった。AさんがBに問い合わせると、「今度は別の手続きが必要で、もう少しだけ支払いがかかるらしい。本当に申し訳ないけど、もう一度だけ手伝ってほしい」と言われた。再び信じて支払いを行ったが、プレゼントが届くことはなかった。

その後も、Bは様々な理由をつけてAさんに追加の支払いを要求してきた。「税関でトラブルが発生した」「通貨の送金に問題がある」など、次々と新しい問題が起こるという話だった。Aさんは次第に疑念を抱き始めたが、これまでの信頼を裏切られたくない気持ちから、次々とお金を支払い続けてしまった。

最終的に、Aさんは友人に相談することで、ようやく自分が詐欺に巻き込まれていることに気づいた。彼女の目に涙が溢れた。「まさか、私がこんな手口に引っかかるなんて…」と。友人の助けを借り、警察に相談することに決めたが、すでに支払った金額は戻ってこない可能性が高かった。

SNSを悪用した詐欺の手口は巧妙だ。ロマンス詐欺と呼ばれるこの手口では、相手に信頼感を築かせ、親密な関係を装うことでお金を騙し取る。Bのような詐欺師たちは、ターゲットの心の隙間を巧みに利用する。最初はほんの少しのやり取りで相手の信頼を得るが、やがてその信頼が裏切られる瞬間が訪れる。

Aさんは、もう二度とBと連絡を取らないことを決意した。警察に届け出た後、彼女は自分が騙されたことに強いショックを受けたが、それ以上に自分を責める気持ちが大きかった。詐欺師たちは相手の心を弄び、優しさや信頼を利用する。それは、Aさんにとって何よりも痛みを伴う裏切りだった。

秋の風が彼女の頬を冷たく撫でる。Aさんは深く息をつき、もう一度前を向こうと決意した。この経験が彼女を成長させ、二度と同じ過ちを繰り返さないための教訓となるように。









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