お金がない

春秋花壇

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消えた投資家

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「消えた投資家」
あらゆる金融商品がひしめく都会の真ん中、サラはある晩、古びたビルの一室で見知らぬ投資家たちと会った。彼女は投資に関しては素人だが、最近話題の「未公開株」とやらに興味を持ち、ネットで見つけた投資セミナーに参加したのだった。

会場に入ると、リーダーと思しき男性が流暢な話し方で、未公開株の魅力を説明していた。彼の話によると、今投資すれば、近い将来、その株が上場する際には大きな利益が見込めるという。サラはその説明に圧倒され、正直なところ、話がいかに魅力的であっても、自分には向いていないと思っていた。ところが、リーダーは続けて、「この株の購入は、今後数日での大チャンス」と語り、次々と投資家たちに手続きを促した。

「証券取引所に上場するのはほぼ確実だ。価格が今の数倍になるのも時間の問題だろう」と断言するその男性は、サラの心に一抹の不安を植え付けた。未公開株、外国通貨、さらには風力発電関連の権利――彼が示す投資先は多岐にわたるが、どれも言葉だけが先行しているように感じられた。

サラが会場を出ると、同じようにセミナーを受けたと思しき若い男性が声をかけてきた。「すみません、あなたも未公開株に興味があるんですか?」彼の口ぶりは自然で、まるで長年の友人のように接してきた。サラは警戒しつつも、「そうですね、興味はありますが、ちょっと不安です」と答えた。

男性はにこやかに「私も同じことで悩んでいたんです。ですが、昨日、別の投資コンサルタントから連絡がありました。『X社の未公開株を持っているが、現在、当社では購入する資格がない。後日、高値で買い取る』という話です」と語った。サラの心は少し揺れたが、どこかに疑念が残る。こんなタイミングでの提案が果たして本物なのだろうか?

その夜、サラはネットで調べ始めた。ところが、業者の情報はあまりにも曖昧で、金融庁の登録も確認できなかった。彼女は次第に不安に駆られ、実際に金融庁のウェブサイトを確認することにした。案の定、彼女が興味を持った業者は登録されていなかったし、警告の対象にもなっていなかった。

サラが更に調べると、金融庁が警告を出している業者リストには、まさに彼女が関わりを持とうとしていた会社の名前があった。焦りながらも、彼女はその後、消費者ホットラインに相談した。電話越しのアドバイザーは親身になって話を聞き、「それは典型的な投資詐欺の手口です」と冷静に説明してくれた。

翌日、サラはセミナーで受けた勧誘の内容や、若い男性からのアプローチをすべて断る決断を下した。その後、同じような被害に遭った人たちが集まるフォーラムで話を聞き、他の被害者たちと連絡を取り合うことにした。彼女は自分の経験をシェアし、他の人々に警告することで、少しでも詐欺を防ぐ手助けになれればと考えた。

数ヶ月後、サラは未公開株の勧誘に対する警戒心が高まり、正しい情報の重要性を再認識していた。彼女は、慎重に確認を行い、金融庁の情報をしっかりと確認することで、今後の投資活動においても一歩先を行くことができるようになった。彼女の経験は、彼女自身だけでなく、多くの人々にとっても大切な教訓となった。






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