お金がない

春秋花壇

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消えた報酬

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消えた報酬

新潟県村上市に住む10代の男性、翔太は、将来への不安を抱えていた。高校を卒業してから、就職先がなかなか見つからず、アルバイトで生活費を稼ぎつつも、貯金ができるほどの収入はなかった。家族や友人には心配をかけたくなかったが、心の奥底では自分の将来が見えず、焦りが募っていた。

ある日、彼のスマホに見覚えのないSNSの広告が現れた。「簡単に稼げる副業!」というキャッチコピーに、翔太の目が留まった。副業なら、自分の生活を少しでも豊かにできるかもしれない。興味をそそられた彼は、何の気なしにその広告をタップした。

リンク先には、手軽に稼げるという内容が並んでいた。特別なスキルも経験も必要ない、ただ仮想通貨アプリを使って報酬を得るだけ。翔太は少し疑いながらも、説明が非常に具体的で分かりやすかったため、すぐに申し込むことにした。担当者らしき人物から、すぐに連絡が来た。

「簡単に始められますよ。最初の報酬はすぐに振り込まれます。」

担当者の言葉に、翔太は安心感を覚え、彼の指示通り、別のSNSへ誘導されて仮想通貨アプリをインストールした。アプリの使い方も簡単で、最初の報酬がすぐに彼の口座に振り込まれた。それを確認した翔太は、少しずつ副業の魅力に引き込まれていった。

日が経つごとに、翔太は担当者とやり取りを続けていた。彼は次々と副業をこなすよう指示され、その度に少額ながらも報酬が振り込まれた。これまでに感じたことのない成功体験に、翔太の不安は徐々に消えていった。

しかし、ある日、担当者から新たな提案が舞い込んだ。

「今までの報酬をさらに増やす方法があります。現金を振り込めば、その金額にプラスして支払われますよ。」

翔太は一瞬戸惑ったが、これまでの成功があったため、疑念を抱かず、指定された口座に15万円を振り込んだ。それから数日後、また同じ担当者から連絡が来た。

「残念ながら、報酬を支払う期限が切れてしまいました。あと15万円振り込めば、すぐに報酬を支払います。」

不安な気持ちはあったが、ここまでのやり取りが順調だったこともあり、翔太は再び担当者の言葉を信じ、再度振り込みを行った。しかし、報酬は届かなかった。

9月13日、翔太は再び担当者から連絡を受けた。

「残念ながら、間に合いませんでした。報酬を受け取るためには、追加で19万円が必要です。」

ここに来て、翔太はようやく不信感を抱き始めた。これまでの取引がすべて正当なものであると思っていたが、さすがに何かがおかしいと感じたのだ。翔太は自分の貯金がどんどん減っていく状況に焦りを覚え、誰かに相談する必要があると思い立った。

翔太は、最も信頼できる友人の一人に相談した。友人は話を聞くやいなや、顔を曇らせた。

「それ、詐欺じゃないか?振り込んだお金、全部返ってこないかもしれないぞ。」

その一言で、翔太は冷や汗が流れるのを感じた。まさか、自分が詐欺の被害に遭っているとは考えもしなかった。しかし、友人の言葉が彼の心に重くのしかかり、次第にその現実を受け入れざるを得なくなった。

翔太はすぐに警察に相談することを決めた。警察に説明すると、彼の話を聞いた捜査官たちは、それが「SNS型特殊詐欺」である可能性が高いと判断した。詐欺グループは、SNSを通じて人々を巧妙に騙し、彼らの持つ資産を引き出させるのが手口だと警察は説明した。

「君のケースは、典型的な手口だ。お金が返ってくる可能性は低いが、早急に捜査を進める。」

警察の言葉に、翔太は落胆した。彼が手に入れたはずの報酬も、未来への希望も、全てが詐欺によって消え去ってしまったのだ。

それから数週間が経ち、翔太は元の生活に戻ろうと努力していた。失った30万円は大きな打撃だったが、それ以上に自分が騙されたという事実が彼の心を重くしていた。しかし、この出来事を通じて、翔太は一つの教訓を得た。

「甘い話には必ず裏がある。」

これまで、自分が求めていたのは簡単に稼げる成功ではなく、真に努力して手に入れるべき未来だと、彼は気付いた。詐欺によって奪われたものは大きいが、それ以上に失ってはならないものがある。自分の信念と誠実な努力こそが、真に価値あるものだと翔太は思い直した。

彼は再び、慎重に自分の未来を歩み始めた。失敗から学んだ経験は、彼を強くし、これからの道を照らす光となるだろう。









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