お金がない

影の友

「影の友」

福岡市の街並みが夜の闇に包まれるころ、岩本城一朗（いわもと じょういちろう）と橋本俊和（はしもと としかず）は、静かな住宅街にひっそりと忍び寄っていた。二人は、お互いの財布を空にするための策略を練るために、X（旧Twitter）で知り合い、思いも寄らぬ共犯関係を結んだのだった。

城一朗と俊和は、どちらも困窮に苦しんでいた。城一朗は、ギャンブルの負債に追われており、その返済のためにはどんな手段でも使う必要があると考えていた。一方、俊和は失業から生活に困り果てていた。彼らは、互いの状況を知り合うと、空き巣という手段に目を向けた。

「次はどこにする？」城一朗が声を潜めて訊ねた。

「ここがいいかもな。外にゴミ袋が置いてあるし、家に誰もいなさそうだ。」俊和が静かに答えた。

彼らは、数週間前からこの場所を監視していた。フードデリバリーの配達員として働きながら周囲を偵察し、空き巣に最適な家を探す仕事をしていた俊和の仕事ぶりには感心したが、犯罪の計画が着実に進む様子には嫌な予感もあった。

家の前に立つと、二人は密かにバックパックから道具を取り出し、窓ガラスを割る準備を始めた。城一朗が動画配信サイトで学んだ方法を活用し、慎重にガラスを割り、隙間から手を伸ばしてロックを外した。俊和は、その間に周囲を見張り、万が一の通報を防ぐために注意を払った。

家の中に入ると、二人は目的の品々を素早く探し出した。現金や商品券が入った財布を発見し、それをすぐにバックに詰め込んだ。犯行が終わると、二人はその家から静かに立ち去り、他のターゲットを探し続けた。彼らの計画は精密で、周到だった。

だが、警察の捜査は着実に進んでいた。被害者の家に残されたわずかな痕跡から、警察は二人の足跡を辿り、次第に彼らの犯行を明らかにしていった。二人の住む地域で発生した空き巣事件の数々が、ついには一つの大きな事件としてまとめられた。

取り調べ室で、城一朗と俊和は真実を認めた。城一朗は、悔しそうに「ギャンブルの返済にあてたかった」と話し、俊和は「生活が苦しかった」と述べた。二人は、お互いの困難な状況に共感し、共に手を組むことで困難を乗り越えようとしたが、その結果は彼らにとって想像以上に厳しいものだった。

取り調べが進む中、二人は自身の選択がどれほど危険で、取り返しのつかない結果をもたらしたのかを痛感するようになった。彼らの犯罪の代償は、予想以上に大きく、人生を一変させるものだった。彼らの過ちが明らかになり、法の裁きを受ける中で、二人は自らの犯した罪と向き合い、その重さを深く理解していった。

ある夜、岩本城一朗は独房の中で、自分の過去を振り返りながら反省していた。彼は、なぜあの時、困難な状況に陥りながらも正しい道を選ばなかったのかを悔い、橋本俊和との共犯関係がどれほどの破壊をもたらしたのかを思い知った。

「もしもあの時、正しい選択をしていたら…」と、城一朗は心の中で呟いた。彼の目には、後悔の涙が浮かんでいた。