お金がない

東京暮らし

東京暮らし

1万円がポケットに入っていると、あっという間に消えてしまうことに気づいたのは、東京に引っ越してからだった。毎日のように、便利なコンビニやスーパーマーケットが誘惑してくる。特に料理が好きな僕には、調味料の誘惑は避けられなかった。

マヨネーズはその一つだ。東京の高級スーパーに行くと、全国各地の特産品が並んでいるコーナーがあり、その中でも特に惹かれたのが、地元で作られた手作りのマヨネーズだった。クリーミーで濃厚、少し酸味の効いたその味は、一度使うと他のものでは満足できなくなるほどだった。

次に手を伸ばしたのは、マーガリンだった。東京のパン屋さんには、バターよりも軽いマーガリンがたくさん並んでいる。健康志向の僕は、コレステロールを気にしながらも、美味しいパンにはマーガリンが欠かせないことを知っていた。特に、フランス産の高級マーガリンは、パンの香ばしさを引き立て、一口食べるごとに幸せな気持ちにさせてくれる。

しかし、これだけでは料理は完成しない。塩コショウも重要なアイテムだ。東京の専門店で見つけたフランス産の海塩と黒胡椒は、その香りと風味が格別だった。シンプルな料理に使うだけで、その味が何倍にも引き立つことに感動し、つい手を伸ばしてしまった。

再び、マーガリンの棚に戻ることになったのは、新しい料理に挑戦したいという思いからだった。バターを使う料理はもちろんのこと、マーガリンを使ったヘルシーレシピが頭をよぎり、また一つ、かごに入れた。

気づけば、レジに並ぶ僕のかごには、これらの調味料がずらりと並んでいた。合計金額は1万円を超えていたが、心は満足感で満たされていた。しかし、ポケットの中の1万円札が消え去るのは、まさに一瞬だった。

家に帰り、これらの調味料を使って料理を始めると、その香りと味に東京での生活が色鮮やかに蘇った。高級スーパーで買ったマヨネーズの滑らかな舌触り、マーガリンの軽やかな口当たり、そして塩コショウの深い風味。それぞれが、東京での新しい生活を象徴するアイテムだった。

東京暮らしは決して安くはないが、その中で得られる小さな贅沢と幸せが、僕の心を豊かにしてくれることを感じた。1万円があっという間に消えても、その瞬間瞬間の喜びは、値段に代えがたいものだった。


調味料たちを使って料理をする日々が続いた。ある日、東京で知り合った友人たちを招いて、ホームパーティーを開くことにした。招待状を送ると、みんなが楽しみにしていると返事が来た。準備に取り掛かり、買い物リストを作ると、再びスーパーに足を運んだ。

パーティーのメインディッシュは、マヨネーズをたっぷり使ったポテトサラダと、マーガリンで香ばしく焼いたガーリックトースト。さらに、塩コショウで味付けしたシンプルなグリルチキンも用意した。調味料の魅力を存分に引き出すメニューだ。

友人たちが次々と到着し、リビングが賑やかになった。お皿を並べ、料理を振る舞うと、みんながその美味しさに驚いた様子だった。「このポテトサラダ、なんてクリーミーなんだ！」「このトースト、マーガリンの香りがたまらないね。」そんな声が聞こえてくる。

僕は笑顔で彼らに応えた。「これはね、東京の高級スーパーで見つけた特別な調味料なんだ。少し贅沢だけど、その価値は十分にあるよ。」友人たちは興味津々で、どのスーパーで買ったのか、どのブランドなのかと質問攻めにした。

その夜は、料理だけでなく、東京での新しい生活についてもたくさん話した。友人たちもそれぞれに東京の魅力を語り合い、互いに新しい情報を交換した。いつの間にか時間は過ぎ、夜が深くなると、みんなが「また集まりたいね」と口を揃えた。

パーティーが終わり、友人たちが帰った後、僕はキッチンで片付けをしながら、満足感に浸っていた。東京での新しい生活は、時には挑戦であり、時には贅沢でもあるけれど、その中で得られる喜びは格別だ。

調味料たちはまだたっぷり残っている。次はどんな料理に挑戦しようかと考えると、ワクワクが止まらなかった。また1万円があっという間に消える日が来るだろう。でも、それは僕にとって東京での暮らしの証であり、小さな幸せを積み重ねる大切な瞬間でもある。

次の週末、僕は新しいレシピに挑戦することを決めた。高級スーパーで新しい調味料を探しに行く楽しみがまた増えた。東京暮らしは、まだまだ続く。そして、その中で見つける小さな贅沢と幸せを、大切にしていこうと心に決めた。

その日もまた、僕のポケットの1万円札は、あっという間に消えていくのだろう。でも、その代わりに得られるものは、計り知れない価値がある。東京の生活は、まさにそんな毎日の積み重ねなのだ。


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こんな風にこだわりの食材や調味料を買っているのなら

ちょっとお金持ちになった気分で心も満足するのだろう。

だが、しかーし

私の買ってくるものはスーパーの最安値の品物ばかり。

なのに、お金はあっという間に消えてしまう。

せっかく治った摂食障害もこんなことなら

食べられないままの方がよかったと思ってしまうのは

何とも情けない話である。

バランスのとれた食事。

体は食べたもので作られる。

よく噛んで味わって感謝して食べることができますように。