お金がない

春秋花壇

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まじお金がない

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「まじお金がない」

ゴミ屋敷をかろうじて免れている和室6畳で、

ネットバンクで47歳の男は送られてきた生活保護費から

マンションの家賃55000円を振り込む。

残金20000円足らず。

二人して、布団かぶってバスタオル口にくわえて

「どうすんだよーーー」

「どうやって生きていくんだよー」

って叫びそうになる。

くそっ。

体が元気だったらなー。

日雇いの引っ越しとか行けるんだけどなー。

もう少し若かったらなー。

介護の仕事でもできるんだけどな。

残念ながら、二人とも今は、駅まで歩くこともできない。

一週間に一度の通院もタクシーで行き返りをしている。

「小説を書いて少しでも、お金が稼げたらいいんだけど……」

二人は顔を見合わせて、悲しそうに頷いた。

窓の外では蝉の鳴き声が響き、夏の暑さが一層重く感じられる。

「でもさ、あんた、昔から文章書くの好きだったじゃん。試しにやってみたら?」と彼女が言う。

彼は少し考え込んでから、「そうだな、やってみるか。でも、どんな話を書けばいいんだろう?」とつぶやいた。

「何でもいいんじゃない?日常のこととか、昔の思い出とか。読んでもらえるかどうかはわからないけど、まずは書くことが大事だよ」と彼女が励ます。

彼はパソコンを立ち上げ、手元の古いノートを開いた。そこには、過去に書いた詩や短編小説の断片が書かれている。彼は懐かしさに浸りながらも、新しい物語を書く決意を固めた。

数時間後、彼は一つの短編を完成させた。タイトルは「夏の日の思い出」。彼はインターネットで投稿できる小説サイトを探し、その作品をアップロードした。

次の日、彼の作品に最初のコメントがついた。「心温まるお話でした。次回作も楽しみにしています!」という言葉に、彼は小さな希望を感じた。

「見て、初めてのコメントがついたよ!」と彼女に見せると、彼女も笑顔で「すごいじゃない!これがきっかけになるかもね」と応援する。

二人は少しずつ、小説を書くことで生活の支えになればいいという希望を抱きながら、前向きに進んでいくことを誓った。彼の物語は、これからも続いていく。


彼の物語はこれからも続いていく。

彼は毎日少しずつ新しい物語を紡ぎ出し、夜遅くまでパソコンに向かうことが習慣となった。彼女は、彼が書いた物語を読んで感想を伝えたり、アイデアを出したりしてサポートしていた。

ある日、彼の携帯電話が鳴った。見ると、それはある出版社からの電話だった。彼の短編が評価され、短編集として出版してみないかという話だった。彼は信じられない思いで、電話を取り、「本当ですか?」と確認した。

「はい、本当です。あなたの作品には心に響くものがあります。ぜひとも一度お話しさせていただきたいと思います」と編集者は答えた。

彼は興奮と緊張が入り混じった感情で、彼女にそのことを伝えた。彼女も喜び、「やっぱりあなたには才能があるんだよ」と抱きしめた。

数週間後、彼は出版社との打ち合わせに行き、正式に契約を結んだ。初めての印税が振り込まれたとき、二人は涙を流して喜んだ。生活はまだ厳しかったが、彼の夢が現実に近づいていることを実感した。

彼の短編集は少しずつ売れ始め、読者からの支持を得るようになった。彼の物語は人々の心に触れ、彼自身も執筆活動を続けることで生きがいを見つけた。

そして、数年後、彼はベストセラー作家となり、彼女とともに新しい生活を始めることができた。彼の物語は、多くの人々に希望と勇気を与え続けた。

「まじお金がない」と叫んだあの日から、彼は自分の力で未来を切り開いたのだった。

ヴィヨンの妻のように二人は口をそろえて

「生きてさえいれば何とかなる。生きてさえいれば」
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