「俺は小説家になる」と申しております

春秋花壇

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転機

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転機

1972年5月、私は2度目にエホバの証人の公開集会に出席した。その日も、里上さんと聖書を学んでいる若い聖書研究生に引き合わされ、私たちは意気投合した。集会が終わった後、その彼女のアパートに訪ねる約束をした。道を歩いている途中、私は不注意にも転んで足をねんざしてしまい、結局その人の家で一晩泊まることになった。

その晩、何気なく彼女の書棚から1冊の本を手に取った。タイトルは『進化と創造 ― 人間はどちらの結果ですか』。その瞬間、私はその本に強く引き寄せられた。カーテンは閉められていたが、窓から漏れる光を頼りに、寝ている彼女を起こさないように気をつけながら、私はページをめくった。

その本の中には、私の知識では到底考えつかなかった驚くべき事実が並んでいた。何度も涙で中断されながらも、夜が白みかける頃にはほとんど読み終えていた。涙が止まらなかった。進化論は間違っている! 全宇宙と人類には偉大な創造者が存在するという確信が湧いてきた。私の心は震え、あらゆる疑問が解けたように感じた。神は実在する。全能の神に仕えずにはいられなかった。

その夜が私の人生で最も感動的な瞬間となった。神の存在を知り、私は完全に心が変わった。翌朝、目を覚ました私は、これまでの価値観や生き方が一切無意味に思えてきた。もはや、これまで楽しんできたこと――皆とお酒を飲んだり、無駄に時間を過ごしたり――が全て空しく感じた。わいせつな話や、無意味な自慢をする友達との関係が苦痛になり、私はその場から距離を置こうと決意した。

漫画業界は、サタンの影響を強く受けていた。サタンの何でも許容する精神が染み渡り、その中で働いていると、次第に自分の人生観がゆがんでいくのが分かってきた。人は心に満ちあふれるものの中から語るというが、私はその中で生きていた。自分が描く漫画が、読者に与える影響を真剣に考えなければならなかった。特に、私が描いた不道徳な内容が、どれほど多くの若者に悪影響を与えていたかを理解せずにはいられなかった。

それに気づいた私は、自分の性格を深く考えた。神を第一にしながら人気漫画家として仕事を続けることはできないという結論に至った。私はついに、漫画の世界を離れる決断をした。そして、同時に恋人との関係も清算した。彼が私の新しい価値観を受け入れることはなかったし、何より、私の信じる道があまりにも異なっていたからだ。

編集部には、しばらく悩んだ後、仕事を辞めることを告げた。たとえ人気漫画家としての地位を捨てることになろうとも、神の教えを学び、従う道を選ぶことが私の人生において最も重要だと感じたからだ。神に仕えるためには、この業界に残ることができない。神の言葉に従うために、全てを変えなければならなかった。

その後、私はエホバの証人としての生活を本格的に始め、心からの充実感を感じるようになった。以前のように、無駄な時間を過ごすことはなく、毎日が神の教えを実践することで満たされた。漫画家としての成功が全てではないと気づき、今度は、神のために生きる道を選んだのだ。

この決断がどれほど大きな転機であったかは、今も私の胸に深く刻まれている。







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