「俺は小説家になる」と申しております

揺れる評価

「揺れる評価」

主人公の千夏は、アルファポリスの投稿サイトで小説を書くことを日課にしていた。初めて書き始めた頃はスコアが一桁で、見てくれる人もわずかだったが、地道に作品を書き続け、少しずつ評価も上がっていった。特に最近は、ついに「14スコア」にまで到達し、喜びを感じていた。だが、その喜びは長くは続かなかった。

ある日、千夏が朝に目を覚まして投稿サイトを確認すると、スコアが「13」に下がっていた。昨日までは喜びでいっぱいだったはずの心が、一気に不安に覆われていく。「なぜ？」と頭を抱える千夏。あれほど熱心に書き、読者のために工夫を重ねた作品だった。だが、どうやら評価は彼女の期待通りには進んでくれないらしい。

「どんどん点数が下がっていく…」と、千夏はつぶやいた。だが、悩んでいる時間はわずかだった。彼女はすぐにパソコンの前に座り、見直しを始めた。読者が求めているものは何か、もう一度原点に立ち返り、いま一度、自分の書きたいことと、読者の期待を織り交ぜた作品づくりを始めた。

「読者が共感できるキャラクターをもっと描いてみよう。彼らに寄り添えるストーリーを紡ごう…」

作品を練り直すうちに、千夏の中で「点数」への焦りは少しずつ薄れ、自分が伝えたい思いに集中できるようになった。しばらくして再び投稿すると、徐々に新しい読者が増え、今度は点数が再び上昇し始めた。

千夏は悟ったのだった。作品のスコアが上がったり下がったりするのは避けられない現実であり、それに一喜一憂するのではなく、常に自分の信じる「良い作品」を目指すことが大切だと。

そして今日もまた、彼女は「14スコア」という数字を励みに、少しずつ、新しい物語の構想を温めていた。