「俺は小説家になる」と申しております

スコアの向こう側

「スコアの向こう側」

陽光が優しく差し込むカフェの一隅、若菜はパソコンの画面をじっと見つめていた。目の前の画面には、アルファポリスの投稿インセンティブスコアが表示されている。12月の冷たい風が窓を叩いているにもかかわらず、彼女の胸の中はどこか温かかった。スコアは20。これまでのどんな数字よりも高い評価を受け、少し驚きながらも、その瞬間を心から喜んでいた。

若菜は作家として、まだ駆け出しの新人だった。しかし、日々の努力と向き合いながら、少しずつ自分の世界を築いてきた。そして今日、初めてその成果が数字となって返ってきた。

スコアが示すもの。それはただの点数ではない。読者の支持、共感、そしてこれからの可能性。若菜はその意味を理解していた。それはただの数字ではなく、彼女の物語が他の誰かの心に響いているという証だった。

「やった…」小さく呟き、若菜は一度深呼吸をした。心の中でその喜びを噛み締めると同時に、次の一歩を踏み出す準備を始めていた。このスコアをきっかけに、もっと多くの人に自分の物語を届けたい。もっと多くの読者とつながりたい。それが、彼女の新たな目標だった。

だが、同時に若菜は思う。このスコアは、今後どうやって維持し、さらに高めていくかという挑戦でもあると。作家としての道は決して平坦ではないし、スコアが上がることに喜んでいるだけでは、次のステップに進むことはできないことを彼女は知っていた。

「まずは、この成果を少しでも長く維持するためには、どうすればいいんだろう…」

若菜は、ひとまずアルファポリスの掲示板を開いた。作家同士の交流が活発で、他の作家たちがどうやって読者の心を掴んでいるのか、彼女は少しでも学びたかった。そこで目に入ったのは、スコアを上げるための秘訣を共有するスレッドだった。読者との交流、更新頻度、そして何より「作品の改善」についてのアドバイスが並んでいた。

「読者ともっと積極的に交流してみよう。」

若菜はそのアドバイスを心に刻んだ。読者との関係が、いかに大切かは十分に理解していた。これまでは少し内向的になりがちだった彼女だが、ここからはもっと意識的に読者に声をかけ、フィードバックを受けるべきだと思った。

「よし、次の更新をもっと早くしよう。」

更新頻度の重要性も、若菜には実感として分かっていた。彼女の作品に対する読者の反応を見て、しばらく間を開けずに更新を続けていくことが必要だと感じていた。そして、少しの改善で作品がもっと良くなるなら、それは必ず次のステップにつながるに違いない。

だが、すぐに思い出したことがあった。それは、スコアの変動が必ずしもすべてを物語っているわけではないということだ。どんなに高いスコアを得ても、自己満足だけでは意味がない。その先には、より多くの読者に自分の作品を知ってもらい、心に残る作品を生み出すという大きな目標がある。

若菜は決意を新たにした。次の作品で、さらに大きな成果を挙げるために、自分自身を成長させ続けることを。

その日の夜、若菜は再びパソコンの前に座った。手元には、次の物語の構想が広がっている。スコアが20になったことは、もちろん嬉しいが、それに甘んじるつもりはない。彼女は自分の目標に向かって、さらに一歩踏み出す覚悟を決めた。

物語は、これからもっと面白く、もっと深く、もっと多くの人の心に届くものになるはずだ。そのために、若菜は日々の努力を惜しまないことを誓った。

次に見えるのは、どんな数字だろうか。その答えを手に入れるために、彼女は今もキーボードを打ち続ける。